自然と友だち


No.14 「ツツジの花咲きアゲハ舞う5月」

 いよいよ新緑の季節、そしてどこにでもツツジの花が咲きほこっています。
 その花につぎつぎと大型の蝶、アゲハの仲間が訪れるようになりました。
 これらのアゲハは蛹で冬を越した春型のアゲハで夏型にくらべて少し小型です。
 いろいろな種類のアゲハがみられます。それぞれくらべてみましょう。
 また、どうやら無事に幼虫で冬を越すことのできたツマグロヒョウモンも春と共に蛹化し、アゲハと共に出現しました。10年前にはツマグロヒョウモンやナガサキアゲハが春に東京で見られるなんて考えられもしなかったのです。まさに虫が出す温暖化のサインです。
 連休中、八ヶ岳の麓山梨県清里へ、ヒメギフチョウに会いに出かけ、ヒメギフチョウ、ミヤマセセリなど春の高原の蝶たちの姿もカメラにおさめました。

撮影・解説:松田邦雄



 

アゲハとキアゲハ
アゲハとキアゲハ
アオスジアゲハ
アオスジアゲハ
カラスアゲハ・ナガサキアゲハ
カラスアゲハ
ナガサキアゲハ
ジャコウアゲハ
ジャコウアゲハ
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
ダイミョウセセリ・コチャバネセセリ
ダイミョウセセリ
コチャバネセセリ
ヒメギフチョウ
ヒメギフチョウ
ミヤマセセリ
ミヤマセセリ

 





アゲハ(ナミアゲハ)とキアゲハ
アゲハ(ナミアゲハ)とキアゲハ

撮影日:アゲハ(ナミアゲハ) 2008年4月28日
キアゲハ 2008年5月2日
  撮影場所:東京都渋谷区
埼玉県朝霞市
 アゲハチョウとキアゲハはとてもよく似ていますが、その名のようにキアゲハの方が黄色があざやかです。また前翅のつけ根の部分の模様も異なります。幼虫の食草もアゲハはサンショウやミカン類ですが、キアゲハはニンジン、ミツバ、パセリなどです。

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アオスジアゲハ
アオスジアゲハ

撮影日:2008年4月30日  撮影場所:埼玉県朝霞市
 アオスジアゲハはその名のように青いすじが鮮やかなアゲハ蝶で、尾状突起がなく、はねは縦長の型でとてもすばやく飛びます。幼虫の食草はクス、ゲッケイジュ、ヤブニッケイなどクスの仲間の植物です。

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カラスアゲハ・ナガサキアゲハ
カラスアゲハ・ナガサキアゲハ

撮影日:カラスアゲハ 2008年5月4日
ナガサキアゲハ 2008年5月7日
  撮影場所:埼玉県新座市
 普通によく見られる黒いアゲハはクロアゲハですが、これは青光りするはねをもっているカラスアゲハです。またクロアゲハによく似たナガサキアゲハも出現しました。ナガサキアゲハは亜熱帯の蝶で、ここ数年東京近郊でも見られるようになりました。

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ジャコウアゲハ
小さい蝶

撮影日:2008年5月4日  撮影場所:埼玉県新座市
 はねが細長く、尾状突起も長いのが特徴です。おすは黒色ですが、めすは茶褐色です。腹部が赤く、クロアゲハなどとは区別できます。
 幼虫はウマノスズクサを食べます。
 その名のようにおすはジャコウの香りがします。

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ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン

撮影日:ツマグロヒョウモンおす 2008年5月4日
ツマグロヒョウモンめす 2008年5月2日
  撮影場所:埼玉県新座市
 まさに温暖化のバロメーターのように、ここ数年で東京でもごく普通に見られる蝶になってしまいました。もともと南国の蝶ですが、分布をどんどん北へ拡げています。
 幼虫はスミレの葉を食べます。庭に植えられたパンジーなどにも幼虫がよく見られます。

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ダイミョウセセリ・コチャバネセセリ
ダイミョウセセリ・コチャバネセセリ

撮影日:ダイミョウセセリ 2008年4月29日
コチャバネセセリ 2008年5月4日
  撮影場所:東京都日野市
埼玉県新座市
 小型のセセリチョウ、ダイミョウセセリははねを開いてとまります。コチャバネセセリははねを半開きにしてとまります。
 セセリチョウの仲間ははねの大きさにくらべて胴体が太いです。

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ヒメギフチョウ
ヒメギフチョウ

撮影日:2008年5月6日  撮影場所:山梨県北杜市高根町清里
 八ヶ岳山麓の1000mを越える清里でヒメギフチョウに会えました。1年に1回だけ、5月の初め頃、ヒメギフチョウが高原の山野を舞い、スミレの花など吸蜜に訪れます。幼虫はウスバサイシンの葉を食べるので成虫はウスバサイシンの葉裏にまん丸い卵を数個かためて産みつけます。

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ミヤマセセリ
ミヤマセセリ

撮影日:2008年5月6日  撮影場所:山梨県北杜市高根町清里
 ヒメギフチョウの舞う高原の山野で、ミヤマセセリに出会いました。東京近郊の平地では3月下旬〜4月頃に見られますが、1000mを越す高原では1ヶ月もおくれて出現します。1年に1回だけ出現する春の妖精(スプリングエフェメラル)です。

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