1.ジュウガツザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
観賞用に植えられている落葉小高木です(3〜5m)。マメザクラとエドヒガンの雑種ではないかと考えられている園芸種です。 10月頃から咲き始める秋・冬の花と、4月上旬に咲く春の花が見られます。小花柄(1cm前後)の先についている花は紅白色の八重(花径1.5〜2cm)で、花には、やや長いろうとのような形のがく筒とその先が5裂したがく裂片(先の尖った卵形で縁にはギザギザ=鋸歯=きょしや、毛=縁毛=えんもうが見られる)・花びら15枚前後・おしべ多数(40本前後)・めしべ1本(緑色)が見られます。 秋・冬の花では、3〜4mmの柄(小花柄)が花を支えていますが、春の花は秋のものより大きく、小花柄も1〜2cmと長くなっていることなどの違いが見られます。 名前は、10月頃花が咲き始めることからつけられたものです。 |
2.フユザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
観賞用に植えられている落葉小高木です(3〜5m)。マメザクラとヤマザクラまたはサトザクラの雑種と考えられている園芸種です。 冬の花は、10月初め頃咲き始めて冬中咲きつづけますが、4月になると春の花があらためて咲きます。花は、白または淡い紅色(花径3cm前後)で、花には、短い筒形のがく筒とその先が5裂した先の尖っただ円形のがく裂片・花びら5枚・おしべ多数(30本前後)・めしべ1本(おしべより長い)が見られます。 秋・冬の花では、3〜4mmの柄(小花柄)が花を支えていますが、春の花では、小花柄も1〜2cmと長くなっており、そのもとに、3〜4mmの小花柄を支える柄(花柄)も見られるようになっています(僅かに毛も見られる)。 名前は、冬に咲くサクラという意味でつけられたものです。 |
3.コブクザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
白又は淡い紅色の小輪八重の花を咲かせる栽培種の落葉小高木です(3〜5m)。 10月頃から冬にかけて咲く花と、3月下旬〜4月にかけて咲く花が見られます。冬の花は、花の柄(小花柄・2〜5mm)が散形状に2〜4本出て花(花径1.2〜1.8cm)をつけていますが、春の花では、小花柄が少し長く2.5cmほどになり、小花柄の下には柄(花柄・約1cm)が見られるところが違います。花には、鐘形のがく筒とその先が5裂したがく裂片(三角状卵形で、縁に粗いギザギザ=鋸歯=きょしと毛=縁毛=えんもうが見られる)・白又は淡い紅色の花びら多数(20〜50枚・内側のものは細くなっている)・おしべ多数(20本前後)・緑色のめしべ1〜2本が見られます。 |
4.カンザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
観賞用に植えられている落葉小高木です(3〜5m)。カンヒザクラとヤマザクラの雑種といわれている園芸種です。 近年は開花が早まって2月上旬頃から淡い紅色の花(花径2.5cm前後)を咲かせます。花は、散形状に2〜3本の花の柄(小花柄・1〜1.5cm・花柄はない)を出し、その先に見られます。花(花径2.5〜3cm)には、鐘形のがく筒(約5mm)とその先が5裂したがく裂片(先の尖った長い三角状卵形、縁に毛=縁毛=えんもうがある・約4.5mm)・淡い紅色の花びら5枚(横に広い円形で先が切れ込んでいる)・おしべ多数(約35本)・めしべ1本(おしべとほぼ同じ長さ)が見られます。 年が明けて咲くサクラの中では、一番早くサクラといえます。 名前は、寒中に咲き始めるサクラという意味でつけられたものです。 |
5.カワヅザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
1955年に原木が河津で発見された落葉高木で、カンヒザクラとオオシマザクラの雑種と考えられています(原木は10m前後になっている)。 花は、近年は開花が早まって2月中頃には咲きます。花の柄(小花柄・約2cm)に支えられて、淡い紅紫色の花(花径3cm前後)を散形または散房状に4〜5花ずつ咲かせています。小花柄のもとには、花柄(1〜1.3cm)も見られます。花には、鐘形で紅紫色をしたがく筒とその先が5裂したがく裂片(先が細長く尖った三角状の卵形で、縁には細かいギザギザ=鋸歯=きょしが少しある)・淡い紅紫色の花びら5枚(横に広い卵形で先の方に切れ込みがある)・おしべ多数(30本前後)・めしべ1本が見られます。 名前は、河津で発見されたサクラということでつけられたものです。 |
6.ツバキカンザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
愛媛県松山市で発見された落葉小高木(3〜5m)です。カンヒザクラとシナミザクラの雑種といわれています。 2月下旬頃から紅紫色の花(花径2〜2.5cm)を散形状に3〜5花ずつつけています(花柄約4mm・小花柄約1.2cm)。花には、鐘状盃(さかずき)形のがく筒とその先が5裂したがく裂片(卵状三角形で、縁には毛=縁毛=えんもうが見られる)・紅紫色の花びら5枚(縁が内側に曲がっており、全体がカップのように見える)・おしべ多数(35本前後で長く目立つ)・めしべ1本(おしべより短い)が見られます。 名前は、愛媛県松山市の伊予豆比古命神社(椿宮といわれている)に原木があることから名づけられたものです。愛媛県にはたくさん見られますが、東京では珍しいサクラです。 |
7.オオカンザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
カンヒザクラとオオシマザクラの雑種といわれている落葉高木です(8m以上)。 木の枝が横に広がり、枝先は波打ちながら平らに伸びているのが特徴です。 早い時は、2月中頃から咲き始めます。淡い紅色をした花(花径3cm前後でカンザクラよりやや大きい)を散形状に2〜4本ずつ花の柄(小花柄)を出して咲かせます。花には、細長い鐘形のがく筒(8mm前後)とその先が5裂したがく裂片(5mm前後で細長い三角状卵形。縁には毛=縁毛=えんもうが見られる)・淡い紅色の花びら5枚(ほぼ円形で先に切れ込みが見られる)・おしべ多数(30本前後)・めしべ1本(淡い緑色で長いおしべより短い)が見られます。 名前は、カンザクラより木自体が大きくなるだけでなく、花も大きいところからつけられたものと考えられます。 |
8.カンヒザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
日本では琉球諸島の各地に野生が見られるだけです。東京以西で観賞用に栽培されているのが見られる落葉小高木です(3〜5m)。 花は、2月下旬頃から、花の柄(小花柄・1〜2cm)に支えられて、濃い紅紫色の花(花径1cm前後)を散形状に2〜3花ずつ下向きで筒状に開き始めます(小花柄のもとには3mm前後の花柄も見られる)。花には、濃い紅紫色の円筒状鐘形のがく筒(1cm前後)とその先が5裂した三角状卵形のがく裂片(約5mm)・濃い紅紫色の花びら5枚(卵状の長だ円形で、先に切れ込みがある)・おしべ多数(25本前後。花糸は初めは白いが、後に濃い紅紫色になる)・めしべ1本が見られます。 名前は、寒い時期に火が燃えるような赤い色の花を咲かせるサクラという意味でつけられたのでしょう。 |
9.コヒガンの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
房総半島や伊豆半島の山に自生しているといわれていますが、ふつうは栽培されています。エドヒガンとマメザクラの雑種と考えられている落葉小高木です(3〜5m)。枝分かれした細い枝は斜め上に伸び上がっています。 3月中旬頃から4月にかけて、花の柄(小花柄・1.4〜1.7cm・毛が生えている)に支えられた淡い紅色の花(花径2.5〜3cm)を、散形状に3〜4花ずつ開いています(横向きに遠慮がちに開いている)。花には、がく筒(約6mm。筒の下部が球形にふくらんだ壷形で毛に覆われている)とその先が5裂したがく裂片(約6mm。先の尖った卵形で毛に覆われ、縁の基部に低いギザギザ=鋸歯=きょしがある)・淡い紅色の花びら5枚(1.3〜1.5cm)・おしべ多数(約30本)・めしべ1本(淡い緑色)が見られます。 名前は、彼岸の頃に花が咲くという意味でつけられたものです。 |
10.エドヒガンの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
山の中でも自然に生えているのが見られますが、観賞用にもよく植えられている落葉小高木です(3〜5m・中には、15m以上になるものもある)。木の幹には、縦に裂けたすじが目立ちます。 3月の中頃から淡い紅色の花を(花径1.5〜2.8cm)を花の柄(小花柄・約1cmで毛が生えている)に支えられて、散形状に3〜5花ずつ開きます。花には、がく筒(約5mm。下部が球形にふくらんだ壷形で周りに毛が生えている)とその先が5裂しているがく裂片(約2mm。三角状の卵形で縁に細かいギザギザ=鋸歯=きょしがある)・淡い紅色の花びら5枚(1〜1.2cm)・おしべ多数(25本前後)・めしべ1本(白色の花柱の下半部に毛が生えている)が見られます。 名前は、花が彼岸の頃に咲き、江戸(東京)のあちこちに栽培されていたことからつけられたものです。 |
11.ヨウコウの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
アマギヨシノとカンヒザクラの雑種といわれている栽培種で、落葉高木です(8m以上になる)。枝は斜め上に向かって伸び上がっています。 花は、3月中頃から、短い柄(花柄)から、さらに花の柄(小花柄)を3本ほど散形状に伸ばして、その先に紅紫色の大きな花(花径約4.5cm)を下向きに開きます。花には、長い鐘形のがく筒とその先が5裂したがく裂片(長い三角状だ円形で、縁に毛=縁毛=えんもうが生えている)・紅紫色の花びら5枚(横に広いだ円形で、先に切れ込みがある)・おしべ多数(20本前後)・めしべ1本(柱頭はおしべの一番短いものと同じくらいの長さ)が見られます。 名前は、満開になったときの花の色が太陽の光のように明るく華やかに見えるところからつけられたものです。 |
12.アマギヨシノの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
ソメイヨシノの由来を調べるために、オオシマザクラ(♀)とエドヒガン(♂)を掛け合わせる実験をしている時に作り出されたといわれる雑種で、落葉高木です(8m以上)。枝は、横に広がって伸びる特徴があります。 3月中旬〜4月にかけて、花の柄(小花柄・約2cm)に支えられた大輪の白い花(花径4cm前後)が散房状に3〜5花ずつ開いています。花には、長い筒状のがく筒(約8mm。筒の上の方が少しくびれて壷の形をしている)とその先が5裂したがく裂片(約8mm。長い三角状だ円形で縁にはギザギザ=鋸歯=きょしがある)・白色の花びら5枚(約2.5cm)・おしべ多数(25本前後)・めしべ1本(花柱の下の方に毛が生えている)が見られます。花の終わり頃になると、花びらの色は淡い紅紫色に変わります。 名前は、掛け合わせの実験で生み出された地域にちなんでつけられたものです。 |
13.ソメイヨシノの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
エドヒガンとオオシマザクラの雑種といわれている落葉高木です(8〜15m)。 3月の終わり頃から、短い柄(花柄・1cm前後で毛が生えている)の先に散形状に3本前後の花の柄(小花柄・2cm前後で毛が生えている)を伸ばして淡い紅を含んだ白色の花(花径3cm前後)を開きます。花には、筒状壷形のがく筒(上部が僅かにくびれている)とその先が5裂したがく裂片(三角状の長いだ円形・縁にギザギザ=鋸歯=きょしがあり、がく筒と共に毛が生えている)・淡い紅を含んだ白色の花びら5枚(約1.5cmで、先に切れ込みがある)・おしべ多数(25本前後)・めしべ1本(花柱の下の方に毛が生えている)が見られます。 名前は、江戸の染井(現在の豊島区)から全国に広がったサクラで、ヨシノザクラ(ヤマザクラ)と区別するためにつけられたものです。 |
14.ヤマザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
主に、宮城・新潟より南の地方の野山に多く生えていた落葉高木です(寿命が長いので8m以上になる)。木の姿(樹形)は、枝が斜め上に伸び上がるものや、横に広がるものなどがあり、いろいろです。 4月初め頃から、赤褐色の新しい葉と一緒に、短い花の柄(花柄・約1cm)から散房状(時に散形状)に2〜3本の花の柄(小花柄・2.5cm前後)を伸ばして、それぞれに花(花径3cm前後・花の色は種類によって白、淡い紅色といろいろある)を開きます。花には、長い鐘形のがく筒(約5mm)とその先が5裂したがく裂片(約5mmで細長い三角状だ円形)・花びら5枚(約1.5cmで、だ円形で先に切れ込みがある)・おしべ多数(20本前後)・めしべ1本(淡い緑色で突出している)が見られます。 名前は、山中に咲くサクラという意味でつけられたものです。 |
15.ベニシダレの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
エドヒガンというサクラの枝がしだれる性質を表わしている種類で、中でも花の紅色が濃くなる種類の落葉高木です(8m以上になる)。 4月初め頃から、長くしだれている枝の節から、花の柄(小花柄約1cm。斜め上に向いた毛が生えている)を散形状に2〜4本出して、その先に紅紫色の花(花径2cm前後で平らに開ききらない)を開き始めます(花柄は殆んどない)。花には、下部が少しふくらんでいる壷(つぼ)形のがく筒(約5mm)とその先が5裂しているがく裂片(約3mm。先が尖った卵形で縁にギザギザ=鋸歯=きょしがあり、がく筒と共に毛が生えている)・紅紫色の花びら5枚(先に切れ込みがある)・おしべ多数(約20本)・めしべ1本(おしべより長い)が見られます。 名前は、紅色の花を咲かせるシダレザクラという意味でつけられたものです。 |
16.オオシマザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
伊豆七島で生まれた落葉高木です(15m前後)。三浦半島や房総半島にもたくさん見られますが、薪(たきぎ)や炭の材料にするために植えられたものだそうです。サトザクラの多くの品種の元になっているといわれています。 3月下旬頃から、葉より少し早いか葉と同時くらいに、葉の脇に柄(花柄・1.5〜2.5cm)を出し、その先に3〜4本の花の柄(小花柄・2〜4cm)を散房状に伸ばして、白色の花(花径4〜5cm)を咲かせます。花には、円筒形のがく筒(7〜8mm)とその先が5裂したがく裂片(先の尖った細長いだ円形・縁に細かく深いギザギザ=鋸歯=きょしがある)・白い花びら5枚(2cm前後)・おしべ多数(35本前後)・めしべ1本(おしべとほぼ同じ長さ)が見られます。 名前は、伊豆大島に多く生えているということからつけられたものです。 |
17.シダレザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
イトザクラともいわれているエドヒガンの栽培品種で、大木になる落葉高木です(8m以上)。細い枝が、垂直にしだれています。樹皮がエドヒガンと同じように、縦に裂けています。 3月下旬頃、花の柄(小花柄。1〜1.5cmで斜め上向きの毛が生えている)を散形状に2〜4本伸ばして、薄紅色を含んだ白い花(花径2〜2.5cm)を咲かせます。花には、下部が少しふくらんだ壷(つぼ)形のがく筒とその先が5裂したがく裂片(先が細まった長いだ円形で、がく筒とともに毛が生えている)・白い花びら5枚(先端やや濃い紅色)・おしべ多数(15本前後)・めしべ1本(おしべより長く、花柱の下部に斜め上に向いた毛が生えている)が見られます。 名前は、イトザクラと共に枝が垂れ下っている様子からつけられたものです。 |
18.ヤエベニシダレの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
ベニシダレの八重咲きの種類で、明治時代に仙台市長の遠藤康治さんが仙台市に植えたところから、エンドウザクラともいわれている落葉高木です(8m以上)。 4月中頃、ベニシダレより少し遅れて淡い紅紫色の八重の花(花径2.5cm前後)を咲かせます。花は、散形状に2〜3本伸びている花の柄(小花柄・斜め上向きの毛が生えている)の先に開いています。花には、鐘形のがく筒(中ほどが少しくびれている)とその先が5裂しているがく裂片(短い三角形でギザギザ=鋸歯=きょしがある)・淡い紅紫色の花びら15枚前後(先が広がっただ円形でややねじれが見られる)・おしべ多数(30本前後)・めしべ1本(長く伸び出ており斜め上に向いた毛が生えている)が見られます。 名前は、紅色で八重の花が咲くシダレザクラという意味でつけられたものです。 |
19.マメザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
富士山や箱根を中心にした周辺の山々(1500m)に多く見られる落葉小高木です(3〜5m)。北は八ヶ岳から、南は、伊豆半島付近まで見られます。 東京あたりでは、3月の終わり頃から、白または淡い紅色の花(花径1.5〜2cm)を花の柄(小花柄・1.5cm前後で毛が生えている)に支えられて、1〜3花ずつ散形状に開きます。花には、赤褐色で筒状のがく筒(5mm前後)の先が5裂しているがく裂片(3mm前後で先が尖った卵形)・白〜淡い紅色の花びら5枚(1.5cm前後)・おしべ多数(35本内外)・めしべ1本が見られます。 名前は、葉(3cm前後)も花(花径1.5〜2cm)も他のサクラより小形のサクラという意味でつけられたものです。 |
20.ミクルマガエシの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
東京の荒川堤で栽培されていたものが広まったと思われる落葉小高木です(3〜8m)。枝は、斜め上向きに伸びています。 4月初め頃、花と一緒に黄緑色を帯びた褐色の葉を広げています。葉の脇には、短い柄(花柄・約5mm)の先に、散房状に花をつける柄(小花柄・約2.5cm)を3〜4本ずつ伸ばして、淡い紅紫色の花(花径約5cm)をつけています。花には、長い鐘形のがく筒(約7mm)とその先が5裂した三角状だ円形のがく裂片(約7mm)・淡い紅紫色の花びら5〜7枚(円形で、先に切れ込みがある)・おしべ多数(45本前後)・めしべ1本(最長のおしべとほぼ同じ高さの位置にある)が見られます。 名前は、昔、後水尾天皇が花の前を通り過ぎた後で、余りの美しさに気づいて御車(みくるま)を返してご覧になったことにちなんでつけられたということです。 |
21.コシノヒガンザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
富山県東砺波(となみ)市の山中に自生しています。エドヒガンとオオヤマザクラの雑種といわれている落葉高木です(8m前後)。 東京では、3月中頃、2〜3本の花の柄(小花柄・1.7cm前後で斜め上向きの毛が生えている)を散形状に伸ばして、その先に淡い紅色の花(花径3cm前後・)を咲かせます。花には、下部がふくらんだ壷形のがく筒とその先が5裂したがく片(先の尖った細長いだ円形で、縁に鋸歯がある。がく筒と共に毛が生えている)・淡い紅色の花びら5枚(長いだ円形で約1.5cm)・おしべ多数(25本前後)・めしべ1本(下の方に毛が生えている)が見られます。 名前は、越中(えっちゅう)地方に生えているヒガンザクラという意味でつけられたものと考えられます。 |
22.アズマニシキの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
東京の荒川堤で栽培されていたもので、淡い紅色の八重の花を咲かせる落葉小高木(3〜8m)です。 4月初め頃、花と一緒に黄緑色をおびた褐色の若葉が見られるようになります。葉の脇には、柄(花柄・約1.5cm)の先に3〜5本の花の柄(小花柄・1.5〜2cm)を散房状に伸ばして、淡い紅色の八重の花(花径約5cm)を咲かせます。花には、長い鐘形のがく筒(約6mm)とその先が5裂したがく裂片(三角状卵形で約6mm。縁に毛が生えている)・淡い紅色の花びら10〜20枚(円形に近い。約2cm)・おしべ多数(30〜40本)・めしべ1本(時に2本、葉化することがある)が見られます。 名前は、エドというサクラによく似ていて、華やかな花を咲かせるところからつけられたのではないかと思われます。 |
23.オオヤマザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
北海道から東北地方に多く見られ、近畿以西には少ない落葉高木です(20〜25m)。 4月中頃から、紫褐色をおびた若葉と共に大輪の紅色の花(花径4cm前後)が見られるようになります。花は、散形状に花の柄(小花柄・1.3〜2.1cm)を1〜3本ずつ出し、その先につけています(かすかによい匂いがする)。花には、筒状で鐘形をしたがく筒(5〜7mm)とその先が5裂しているがく裂片(先の尖った長いだ円形・約4mm)・紅紫色の花びら5枚・おしべ多数(38本前後・花糸は白色だが後に赤っぽくなる)・めしべ1本(長いおしべより短い)が見られます。 名前は、ヤマザクラより花が大きいところからつけられたものです。花の色が濃いところから、ベニヤマザクラともいわれています。 |
24.チョウシュウヒザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
東京の荒川堤で栽培されていたものが広がったと思われます。オオヤマザクラとオオシマザクラの雑種ではないかといわれている落葉小高木(3〜8m)です。斜め上に伸び上がりながら大きく枝を広げています。 4月初め頃から、芽がほころびて柄(花柄・約1.5cm)を伸ばし、その先に花をつける柄(小花柄・3cm前後)を散房状又は散形状に2〜4本伸ばして、大柄な紅紫色の花(花径約4cm)を開きます。花には、長い鐘形のがく筒(約8mm)とその先が5裂した長い三角状のがく裂片(約8mm。ギザギザ=鋸歯=きょしのあるものもある)・紅紫色の花びら5枚(円形で先に切れ込みがあり、花びらの数は5枚以上になることもある)・おしべ多数(45本前後)・めしべ1本(最長のおしべより少し短い)が見られます。 名前の長州は山口県のことで、花の色が関係している名前かと思われます。 |
25.イチヨウの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
関東地方に多いサトザクラの一種で、落葉高木です(8m以上)。 4月の中頃から、鮮やかな緑色の若葉と共に花が咲きます。短い柄(花柄・1〜2cm)の先に散形状(時に散房状)に2〜4本の花の柄(小花柄・約3.5cm)を伸ばして、淡い紅色の花(花径約5cm)を垂れ気味につけています。花には、ろうと形のがく筒(約1cm。縦筋やしわが目立ち、下方は細くなって小花柄に続く)とその先が5裂したがく裂片(約6.5mm。三角状卵形で、縁にギザギザ=鋸歯=きょしが見られたり、毛=縁毛が見られることがある)・淡い紅をおびた白色の花びら25〜35枚・おしべ多数(約3mm前後)・めしべ1本(下方が葉のようで、先は淡い紅色をしている)が見られます。 名前は、めしべが普通1本で、めしべのもとが葉のようになっているところからつけられたものです。 |
26.ウコンの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
花が、ごく淡い黄緑色をしているサトザクラの一種の落葉高木です(8m以上)。 4月中頃から、花と一緒に紅紫色をおびた褐色の若葉が見られます。1.5〜2.5cmの柄(花柄)から、散房状に2〜3本の花の柄(小花柄・3cm前後)を伸ばして、淡い黄緑色の花(花径約4cm)を垂れ気味に開きます。花には、ろうと形のがく筒(5mm前後)とその先が5裂したがく裂片(約9mm。先の尖った細長いだ円形で鋸歯がある)・花びら7〜18枚(淡い黄緑色で外側のものは水平に開き、内側のものは立っている・先や外側は淡い紅色をおびるものもある)・おしべ多数(38本前後。約4mm)・めしべ1本(おしべより長い)が見られます。 名前は、花の色がウコンという植物の根茎を使って染めた色に似ているところからつけられました。 |
27.ギョイコウの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
淡い黄緑色の花を咲かせるサトザクラの一種の落葉高木です(8m以上)。 4月中頃から、花と一緒に黄緑色をおびた褐色の若葉が見られます。1〜3cmの柄(花柄)から、散形状(時には散房状)に3〜4本の花の柄(小花柄・3cm前後)を伸ばして、緑黄色の花(花径3cm前後・花径は栽培地によって違いが見られる)を垂れ気味に咲かせます。花には、細長いろうと形のがく筒(約5mm。紅紫色をおびた褐色で、上の方にしわがある)とその先が5裂したがく裂片(約9mm。先の尖った卵形)・淡い黄緑色の花びら10枚前後(淡い緑の中に部分的に濃い緑・白・赤色の筋が見られ、縁が外側に反っている)・おしべ多数(約3mm。淡い黄色の葯の先に尖ったもの=葯かくが見られる)・めしべ1本(おしべより長い)が見られます。 |
28.カンザンの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
花の色が鮮やかな紅色で、華やかな大輪の花を咲かせるサトザクラの一種の落葉高木です(8m以上)。枝の先の方が上向きに弓なりに曲がる性質があります。 4月中頃から、花と共に紫褐色の若葉が見られます。2cm前後の柄(花柄)に散形状(時には散房状)に3〜5本の花の柄(小花柄・2.5cm前後)を伸ばして、紅色の花(花径約5cm)をやや垂れ気味に咲かせます。花には、ろうと形のがく筒(暗い褐色で縦に筋が見られ、6mm前後)とその先が5〜6裂したがく片(6mm前後。ふくらみのある長い三角形で、縁に少し毛=縁毛が生えている)・花びら20〜40枚(外側のものは円形だが、内側のものは細長い)・おしべ多数(25本前後。葯の膜状部は紅色)・めしべ1〜2本(花柱の上の方は紅色で、下の方は葉のようになるものがあり、縁にギザギザ=鋸歯=きょしがある)が見られます。 |
29.フゲンゾウの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
全国的によく植えられているサトザクラの一種で、落葉高木です(8m以上)。 4月中頃から、花と共に紅紫色をおびた褐色の若葉が見られます。短い柄(花柄・1.5〜2.5cm)の先に散形状(時には散房状)に2〜3本の花の柄(小花柄・約4cm)を伸ばして、淡い紅色の花(花径約5cm)をやや垂れ気味に咲かせます。花には、細く小さなろうと形のがく筒(約5mm)とその先が5裂したがく裂片(約1cm。三角状卵形で、縁にギザギザ=鋸歯=きょしがある)・花びら21〜25枚(初めは淡い紅色だが、後には殆んど白色になる)・おしべ多数(5mm前後)・めしべ2本(下の方が葉のようで、花柱が象の鼻のように長く伸びて紅色をおびている)が見られます。 名前は、めしべの先が、普賢菩薩(フゲンボサツ)が乗っている象の鼻に似ているということでつけられたものです。 |
30.ショウゲツの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
関東地方に多い小形のサトザクラの一種で、落葉小高木です(3m前後)。枝は横に広がるように伸びて、傘を広げたような姿をしています。 4月の中頃から、花と一緒に淡い緑色をおびた褐色の若葉が見られます。2〜3cmの柄(花柄)から散形状(時には散房状)に伸ばした3〜5本の花の柄(小花柄・約4cm)に淡い紅色の花(花径約5cm)を垂れ気味に咲かせます。花には、ろうと形のがく筒(5mm前後。上の方にしわがある)とその先が5〜7裂したがく裂片(7mm前後。先が細くなった卵形で、縁にはっきりしたギザギザ=鋸歯=きょしがある)・花びら21〜26枚(外側のものは淡い紅色だが、内側のものは殆んど白色で、花びらの先の方には細かい切れ込みがある)・おしべ多数(葯は黄白色で卵形だが不完全で普通は開かない)・めしべ1〜2本(下の方は葉のようになっている)が見られます。 |
31.アマノガワの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
枝が真っ直ぐに上に向かって伸びています。花も上を向いて咲くので、箒(ほうき)のような樹形(木の姿)に見える落葉小高木です(3m前後)。 4月の中頃、1.5cm前後の柄(花柄)の先に、3〜4本の花の柄(小花柄・3.5cm前後)を散房状に伸ばして、淡い紅色の花(花径4cm前後)を上向きに咲かせます。花には、細い鐘のような筒形のがく筒(約8mm)とその先が5裂したがく片(約8mm前後。先が細く尖った長いだ円形で縁にはギザギザ=鋸歯=きょしがある)・淡い紅色の花びら15枚前後(約2cm)・おしべ多数(30本前後)・めしべ1本(淡い緑色で、長いおしべと同じくらいの長さ)が見られます。 名前の由来は、よく分かりません。 |
32.スルガダイニオイの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
荒川堤で栽培されていた落葉高木(8m以上)で、駿河台の庭園に植えられて広がったといわれています。 花は、4月中頃、八重咲きのカンザンと同じ頃、緑褐色の若葉と共に白い花(花径3.5cm前後)を開きます。花は、一重でよい匂いがします。柄(花柄・1.5cm前後)の先に散房状に2〜3本伸ばした花の柄(小花柄・3.5cm前後)の先に咲いています。花には、長い鐘形のがく筒(約5mm)とその先が5裂しているがく片(約1cm。先の方にギザギザ=鋸歯=きょしがある)・花びら5枚(先にこまがい切れ込みがある。たまにおしべの中に立っている花びら=旗弁=きべんが見られる)・おしべ多数(25本前後)・めしべ1本(淡い緑色で長いおしべより短い)が見られます。 名前は、江戸の駿河台にあったところからつけられたものです。 |
33.キクザクラの花<バラ科> | |
![]() | |
|
|
岡山の旧制第六高等学校の校庭に植えられていた落葉小高木(3〜8m)だといわれています。 4月中頃から、淡い紅紫色の花を咲かせます。花は、枝から出ている柄(花柄・2cm前後)から散房状に2〜3本のびている花の柄(小花柄・3〜6cm)の先につき、垂れるように咲いています。花のつくりは少し変わっています。花には、平たくなっているがく筒(中ほどが凹んでいる)の先に5裂した大きながく片(6mm内外)とその間に1〜2枚ついている小さながく片(副がく片。3mm内外)・淡い紅紫色の花びら多数(100〜180枚。花の中心部には濃い紅色の花びらや葉化した緑色のがく片が見られる)・中心部の花びらの周りにはおしべ多数(めしべははっきりしない)が見られます。 名前は、花のようすがキクの花に似ているところからつけられたものと思われます。 |
『自然と友だち』バックナンバーはこちら 『北の丸公園の自然HP』バックナンバーはこちら 『自然との出会いHP』バックナンバーはこちら |