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カンツバキの花 <ツバキ科> | |
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暖かい地域を好む常緑の低木(1~3m)です。サザンカの変わりものです。自生地はありませんが、庭や公園・生け垣などによく植えられています。 幹の低い所で枝分かれして横に広がる性質があります。葉(2.5~6cm)は、厚みがあり先がとがった長いだ円形で、縁には細かいギザギザ(鋸歯=きょし)があります。 12~3月にかけて、紅色で中くらいの大きさ(中輪=ちゅうりん・花径7~9cm)の花を咲かせます。花は、半八重~八重で、花には瓦(かわら)状に重なっている平たい円形のがく苞(がく片と苞=ほうが区別できないもの)・紅色の花びら15~20枚・黄色い葯(やく)と花糸のあるおしべ多数・花柱が3裂しているめしべ1つが見られます。暖かい冬には球形の実をつけています。実の外側には毛が生えており、中には黒褐色の種が1~3粒できます。 名前は、寒い冬にツバキに似た花を咲かせることからつけられたものと考えられます。 |
ハマヒサカキの花 <ツバキ科> | |
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暖かい地方の海岸に生えている常緑の低木(1.5~4m)です。庭や生垣、道路のグリーンベルトなどにも植えられています。雄の木と雌の木があります。 幹は、根もとからたくさん生え出て枝をたくさん分けています。枝には、厚みとつやのある長いだ円形の葉(約2cm)を左右に水平に互生しています。葉の縁には細かいギザギザ(鋸歯=きょし)がありますが、縁が裏側に反っているのでわかりません。 花は、暖かい地方と寒い地方では咲く時期が違います。皇居周辺のものは、11~1月頃にかけて咲くようです。花(雄花の花径約4mm。雌花の花径約2mm)には、がくが5枚(がくに接して紫黒色の2枚の小さい苞=ほうがある)・緑白色の花びら5枚・雄花の方にはたくさんのおしべが、雌花の方には先が3裂しているめしべ1本が見られます。 名前は、浜に多く見られるところからつけられたものです。 |
ソシンロウバイの花 <ロウバイ科> | |
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中国から入って来た落葉低木(2~4m)です。観賞用に庭や公園に植えられています。乾濠小公園では、12月27日頃から咲き始めました。
茎は、根もとからたくさん生えあがって枝を分けています。黒褐色をした枝には、先が細長く伸びた卵形の葉を対生しています。葉は薄いけれど少しかたく、葉の面はざらざらしています。 1~2月頃、まだ残っている葉の脇に横向きや下向きに、柄のない花(花径1.8~2cm)をぴったりとくっつけた姿で咲いています。普通のロウバイは花の中が暗紫色ですが、このロウバイは中まで黄色いところが違います。 名前は、蝋月(ろうげつ・旧暦の12月のこと)に花が咲くこと、花びらが蜜ろうのような色つやをしており、姿がウメの花に似ているということがもとになったようです。 |
アレチノギクの花 <キク科> | |
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南アメリカ生まれの越年草(30~60cm)です。道ばたや草原によく生えています。 茎がある程度伸びてくると数本の枝が伸びあがって、茎より高くなる独特の形になります。葉は細長く(線形)、縁は波打つようにウェーブしたり、あらいギザギザ(鋸歯=きょし)が見られたりします。茎にも葉にも灰白色の毛が密生しています。 6~12月頃、枝先の方に花柄を伸ばして、先が平らな卵形の花の集まり(頭状花=頭花)を1花ずつつけています。頭花は、外側が細長い葉状のもの(総苞片=そうほうへん。約5mm)に取り囲まれており、その中に小さな花がつまっていますが、まん中の方には毛(冠毛=かんもう)に囲まれた筒状の花(管状花)があり、その周りには冠毛に囲まれた目立たない舌状の花(舌状花)が見られます。 名前は、荒れ地に生えている野菊という意味でつけられたものです。 |
ムラサキイヌホオズキの花と実 <ナス科> | ||
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1951年(昭和26年)頃入って来た、南アメリカ生まれの1年草(30~60cm)です。 茎は紫色で、角張ったすじ(稜=りょう)が縦に数本見られ、短くかたい毛がまばらに生えています。枝には、卵形で暗緑色の葉を互生しています。葉の縁には、波のような不規則のギザギザ(鋸歯=きょし)と短く荒い毛が見られます。 7~1月頃、茎や枝の途中から花をつける軸(1~2cm)を伸ばして、その先に柄(4~6cm)のある白~淡い青紫色の花(花径約6mm)2~6花を散形につけます。花には、先が浅く5裂した緑色の鐘形のがく・先が深く5裂した白または淡い青紫色の花びら・黄色い葯(やく)が目立つおしべ5本・めしべ1本が見られます。花の後には、黒く熟する実(径約6mm)がなります。実の中には、小さな種がたくさん入っています。 名前は、茎が紫色になるイヌホオズキという意味でつけられたものです。 |
スイセンの花 <ヒガンバナ科> | |
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中国から入って来た多年草(30~40cm)です。観賞用に庭に植えられていますが、海岸近くに野生化しているのも見られます。 ラッキョウのような形の黒い皮をかぶった球根から、やや厚く白味をおびた緑色の細長い帯状の葉(20~40cm)4~6枚を出しています。 1~2月頃、葉の間から真っ直ぐに伸び出した花の茎(30~40cm)の先に、2~3本の柄を出してその先に花を横向きに咲かせています。花は、長い花筒の先が6つに裂けて花びら(外花被3枚・内花被3枚)のように広がり、花筒の入り口には黄色い花びら状のもの(副花冠=ふくかかん)が開いています。その中におしべ6本・めしべ1本(子房は長い花筒=はなづつの下の緑のふくらみの中にある)が見られます。 名前は、中国の名前の水仙を音読みにしたものです。 |
ラクウショウの実 <スギ科> | |
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メキシコ生まれの落葉高木(20~50m)です。明治10年頃入って来ました。雄の木と雌の木があります。(写真の葉がほとんど落ちているのが雌木、褐色の葉が残っているのが雄木) 赤褐色をしている幹が真っ直ぐに伸びあがり、枝を横に広げて円すい形の樹形をしています。 夏の頃は、浅い緑色をした細く短い葉(約1.5cm)を櫛(くし)の歯のようにつけた葉(5~10cm)を2列につけた葉が見られます。 4月頃雄の木雌の木それぞれに、雄花と雌花を咲かせていましたが、10月頃には雌の木の小枝の先に暗い褐色に熟した球形の実(球果・2~4cm)をつけています。球果は、軸の周りに10~12片の果鱗(かりん)といわれるものに囲まれており、果鱗の内側のもとには種が一つずつついています。 名前は冬になると葉を落として裸になるところからつけられたものです。 |
毛におおわれた着物に包まれている冬芽 コブシ <モクレン科> | |
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落葉樹のコブシは、毛皮に包まれた着物(芽鱗=がりん)に包まれて新しく伸びてくる花や葉のもとを守っています。このような形に似ている冬芽には、ハクモクレンやカラタネオガタマ、タイサンボクなどがあります。 |
1~2枚の着物におおわれている冬芽 ユリノキ <モクレン科> |
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落葉樹のユリノキの冬芽は、毛におおわれてはいませんが、薄いけれども丈夫な着物(芽鱗=がりん)が外側と内側に重なっておおっていて、中の花や葉のもとを守っています。ホオノキの冬芽とは大きさが違いますが似ています。 |
数枚の着物におおわれている冬芽(1) トサミズキ <マンサク科> |
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落葉樹のトサミズキの冬芽は、5~6枚の薄い着物(芽鱗=がりん)を重ね着するようにして中の花や葉のもとを守っています。このような形に似ている冬芽には、ハナミズキやサンシュユなどがあります。 |
数枚の着物におおわれている冬芽(2) アオキ<ミズキ科> |
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常緑樹のアオキは、短い毛の生えた丈夫な着物(芽鱗=がりん)におおわれて、中の花や葉のもとを守っています。芽鱗の外側には、先のとがった三角状だ円形の苞(ほう)と呼ばれるものが2枚見られます。このような形に似ている冬芽には、サンゴジュの冬芽があります。 |
鱗(うろこ)のような着物におおわれている冬芽(1) コナラ <ブナ科> |
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落葉樹のコナラは、多くの鱗のような着物(芽鱗=がりん)が瓦(かわら)を重ねたように重なっています。芽鱗をはがして見ると、下(外側)に見えるものは短く上(内側)に見えるものは長いので、中の葉や花のもとは暖かく守られていることがわかります。このような形の冬芽には、サクラやクヌギなどがあります。 |
鱗(うろこ)のような着物におおわれている冬芽(2) クスノキ <クスノキ科> |
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常緑樹のクスノキは、落葉樹のコナラの冬芽のように鱗のような着物(芽鱗=がりん)10枚前後が瓦を重ねたように重なっています。芽鱗をはがして見るとコナラの冬芽のように、下に見えているものは短く上に見えているものほど長いことがわかります。このような形の冬芽には、タブノキやシラカシなどがあります。 |
葉の柄のもとに包まれている冬芽 スズカケノキ <スズカケノキ科> |
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落葉樹のスズカケノキの葉が枝からはがれ落ちると、葉の柄のもとに包まれていたとんがり帽子のような形の芽が出てきます。冬芽は、厚い帽子のような着物(芽鱗=がりん)に包まれています。葉の柄に包まれている木の芽には、ほかにハクウンボクがあります。 |
花の芽と葉の芽が別々の冬芽 ソメイヨシノ <バラ科> |
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冬芽の中には、1本の木の中に、姿の違うものが見られるものがあります。はっきり形が違うものには、クロモジがありますが、サクラでは、ふっくらしているかほっそりしているかの違いしかわからないものもあります。 ソメイヨシノを例にとると、ふっくら形のものは花芽(かが)といって、鱗(うろこ)のような着物(芽鱗=がりん)の中に花になるもとが包まれています。ほっそり形のものは、葉芽(ようが)といって、芽鱗の中に葉になるもとが包まれています。 |
花と葉のもとが一緒に入っている冬芽 ドウダンツツジ <ツツジ科> |
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冬芽の中には、花のもとと葉のもとが一緒に入っているものが見られます。このような芽を混芽(こんが)といっていますが、ドウダンツツジの芽では、春先に24~25枚の着物(芽鱗=がりん)がほころびると、中から花と葉が一緒に出てきます。このような形の冬芽には、ニワトコやカエデなどがあります。 |
<付>着物に包まれていない裸(はだか)の冬芽 ムラサキシキブ <クマツヅラ科> |
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木の芽には、着物(芽鱗=がりん)に包まれていない裸んぼうの冬芽(裸芽=らが)もあります。皇居の外周に1本裸芽をつけているアカメガシワがありましたが、切られてなくなっていました。参考までに、北の丸公園にあるムラサキシキブの裸芽を付録として取りあげてご紹介しておきます。 ムラサキシキブの芽は、枝先や葉がついていたところの脇に葉を半分に折り合わせたような姿でついています。芽の表面には葉のすじ(葉脈)が見られ、褐色のフェルトのような綿毛にくるまれています。 |
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