早春の北の丸公園を飾ってくれている草木の花々の中から


「早春の北の丸公園を飾ってくれている草木の花々の中から」

 春めいた暖かさに恵まれる日和がふえて参りました。
 カワヅザクラやシナマンサクの派手な花や、地味ながらも黄色い花序を枝いっぱいにつけて存在感を示しているサンシュユの花が、ハルコガネバナという別称が示している通り、美しく公園を飾ってくれております。
 よく目をこらして見ると、キャラボク・トサミズキ・ウグイスカグラなどの目立たない花も見られるようになりました。
 地面には、オオイヌノフグリ・ホトケノザ・カラスノエンドウ・オオキバナカタバミなどの比較的目立つ花に混じって、コハコベ・キュウリグサ・タネツケバナ・スズメノヤリなどの小さな目立たない花も早春の北の丸を飾ってくれています。
 これらの花々を見ながら、春陽の暖かさの中でのお散歩をお楽しみください。

撮影・解説:永井昭三

永井昭三先生にメッセージや質問などをお寄せください。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/


 

<木の花の部>

ウグイスカグラの花 アセビの花 サンシュユの花 ジンチョウゲの花
ウグイスカグラの花 アセビの花 サンシュユの花 ジンチョウゲの花
ミツマタの花 カワヅザクラの花 シナマンサクの花 トサミズキの花
ミツマタの花 カワヅザクラの花 シナマンサクの花 トサミズキの花
ヒイラギナンテンの花 キャラボクの花
ヒイラギナンテンの花 キャラボクの花

<草の部>

カントウタンポポの花 オオイヌノフグリの花 ホトケノザの花 キュウリグサの花
カントウタンポポの花 オオイヌノフグリの花 ホトケノザの花 キュウリグサの花
オオキバナカタバミの花 カラスノエンドウの花 ナズナの花 タネツケバナの花
オオキバナカタバミの花 カラスノエンドウの花 ナズナの花 タネツケバナの花
コハコベの花 スズメノヤリの穂
コハコベの花 スズメノヤリの穂



 



木の花の部

ウグイスカグラの花 【スイカズラ科】
ウグイスカグラの花 【スイカズラ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 北海道の南部から南の日本全土の野山に普通に見られる落葉小低木(1.5~3m)です。根もとから茎を何本も伸ばして、どの茎にも枝をたくさん出して茂っています。
 2月終わり頃から花が見られるようになりますが、この時期に見られる花(花径約1cm)は、短い柄の先に2~4花ずつ、横または上向きに咲いています。(4月頃になると1~2cmの柄の先に花を下垂=かすいさせて咲く)。
 花には、花のもとに緑色の丸い子房と1枚の小さく細い苞葉(ほうよう=3~7mm)が1枚(がくははっきりしない)・やや曲がった2cmほどの筒先が5裂している花びら・おしべ5本・長く突き出ているめしべ1本が見られます。

 

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アセビの花 【ツツジ科】
アセビの花 【ツツジ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 宮城県より南の日本全土の山地に生えている常緑の低木(1.5~4m)です。今では、庭や公園によく植えられています。
 葉は、縁に鈍いギザギザ(鋸歯=きょし)がある細長いだ円形(5~7cm)で、先が尖(とが)っています。枝に互生していますが、枝先の方では輪生しているように見えます。
 3~5月頃、枝先の葉の間から数本の花の軸を伸ばして、その軸にスズランのような白い花(長さ7~8mm)を房のように吊(つ)り下げて咲かせます。
 筒状の花の先は5つに割れていて、中におしべが10本・めしべ1本が見られます。
 名前は、有毒な成分が含まれている葉や茎を馬が食べて中毒を起こしてフラフラになったことから、足しびれ→あしび(馬酔木)→アセビと名づけられたといわれています。

 

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サンシュユの花 【ミズキ科】
サンシュユの花 【ミズキ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 朝鮮(今の韓国)から1772年頃入って来た落葉小高木(6~10m)です。薬用と観賞用に東北南部から西の各地に植えられています。
 花は、葉が出る前の2月の終わり頃から4月にかけて咲きます。小枝の先にたくさんの黄色く小さな花(花径0.4~0.5mm)を群がるように咲かせています(散形花序)。花の集まり(花序)の下を囲むように、褐色のかたい苞葉(ほうよう)が4枚あります。
 一つの花を取り出して見ると、短い柄の先に細長い三角形の花びらが4枚・おしべが4本・環状の花盤(かばん)の中にめしべ1本が見られます。
 名前は、中国の漢字の名前「山茱萸」を音読みにしたものです。牧野富太郎先生は、鮮やかな黄色い花にちなんでハルコガネバナ、秋の赤い実の美しさからアキサンゴともいっておられます。

 

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ジンチョウゲの花 【ジンチョウゲ科】
ジンチョウゲの花 【ジンチョウゲ科】
撮影日:2015年3月4日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 中国から入って来た常緑の低木(1~1.5m)です。庭や公園によく植えられています。雄の木と雌の木がありますが、日本にあるのはほとんどが雄の木といわれています。
 短い褐色の茎を株立ちさせて枝を分け、つやのある先の尖(とが)った細長いだ円形の厚い葉(長さ約6cm・幅2~3cm)を互生させています。
 2~4月頃、枝先の葉がついている先(葉心=ようしん)にたくさんの花の集まりを頭状に咲かせます。
 花には、先が4裂した筒状のがく(約1cm、外面は紅紫色、内面は白色)・おしべ4本(日本のものはほとんどが雄の木なので実を結ばない)が見られます。
 名前は、花のよい香りを沈香(じんこう)と丁字(ちょうじ)のの香りをあわせもっているということからつけられたといわれています。

 

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ミツマタの花 【ジンチョウゲ科】
ミツマタの花 【ジンチョウゲ科】
撮影日:2015年3月4日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 中国から入って来た落葉低木(1~2m)です。湿り気があって日当たりのよい所によく育ちます。
 幹は根もとから数本が生え出して立ち上がり、枝は3本ずつに分かれて出ています。若い枝は緑色で毛が生えていますが、古い枝は黄褐色をしています。冬の間は黄色い蜂の巣のような花の蕾のかたまり(40個前後の蕾)を枝の先の方に下向きにつけています。
 花は、2~3月にかけて、外側の蕾から順番に内側に向かって花が開いていきます。
 花には、白い毛が生えた筒形で先が4つに割れているがく(1.2~1.4cm、内側は黄色い色をしているが、筒の中は無毛)・おしべが8本・めしべ1本が見られます。
 幹や枝の皮の繊維(せんい)は強くて質が良いので、紙をつくる原料に使われています。名前は、枝が3本ずつに分かれて3つのまたができているところからつけられたものです。

 

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カワヅザクラの花 【バラ科】
カワヅザクラの花 【バラ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 1955年に原木が伊豆の河津(かわづ)で発見された落葉高木(原木は約10m)です。カンヒザクラとオオシマザクラの雑種と考えられています。
 花は、2月中頃から約2cmの柄(小花柄=しょうかへい)に支えられて、1か所に2~5花ずつ淡いピンク色の花(花径約3cm)を咲かせ始めます。小花柄のもとには、さらに花柄という短い柄(1~1.3cm)があります。
 花には、鐘形で紅紫色のがく筒とその先が5裂したがく片(先が細長く尖(とが)った三角状の卵形で縁に細かいギザギザ=鋸歯=きょしが少し見られる)・淡い紅紫色の花びら5枚(横に広い卵形で先に切れ込みがある)・おしべ多数(30本前後)・めしべ1本が見られます。
 名前は、伊豆の河津で発見されたサクラということでつけられたものです。

 

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シナマンサクの花 【マンサク科】
シナマンサクの花 【マンサク科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 中国生まれの落葉小高木(3~8m)です。日本特有のマンサクと違って、若い枝や葉に柔らかい毛が生えています。枝には、冬でも両面に毛が生えた茶色の枯れ葉(8~15cm・葉の縁に波状のギザギザ=鋸歯=きょしが見られる)をつけているのが特徴です。
 2~3月頃、枯れ葉の柄の脇に、黄金色(こがねいろ)の花(径3~4.5cm)が開きます。
 花には、がくが4枚(外面には鉄さび色の毛が生えており、内面は赤紫色をしている)・花びらが4枚(黄金色で細長く、もとの方は赤味をおびており、長さは1.5~2.3cm)・おしべが4本・めしべ1本が見られます。
 名前は、中国(支那)生まれのマンサクという意味でつけられたものです。マンサクの名は、枝いっぱいにつけている花の様子を、豊作と同じ意味の満作としたとも、他の花に先駆けて先ず咲くという意味でつけられたともいわれています。

 

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トサミズキの花 【マンサク科】
トサミズキの花 【マンサク科】
撮影日:2015年3月2日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 四国の土佐(高知県)の野山に生えている落葉低木(2~4m)です。庭や公園にもよく植えられています。
 幹は、根もとから数本が伸び出して、よく枝分かれしています。
 3月頃、葉が出る前に、前の年に伸び出た枝の先や葉がついていた跡(葉痕=ようこん)の脇から、淡い黄色の花の穂(2~5cm)が伸び出て、7~10花をつけて垂れ下がります(花穂のもとの方には、数枚の苞葉=ほうようが見られる)。
 花には、淡く黄色い5裂したがく(大きさは不揃いで毛が生えている)・長いへら形で淡く黄色の花びらが5枚・おしべが5本(葯=やくが赤みをおびている)・花柱が長いめしべが見られます。
 名前は、土佐で生まれたミズキという意味でつけられたものです。

 

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ヒイラギナンテンの花 【メギ科】
ヒイラギナンテンの花 【メギ科】
撮影日:2015年3月2日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 中国生まれの常緑の低木(1~3m)です。江戸時代(1680年頃)に日本に入って来ました。
 茎は、根もとから数本立ち上がっていますが、ほとんど枝分かれしません。茎の表面は灰黒色で、皮が縦に裂けています。葉は、大形の複葉(厚くてかたい刺=とげが縁にあるつやつやした小葉が5~8対見られる)で、枝の先に放射状に互生しています。
 2月半ば頃から、茎の先に10本前後の花の軸(10~15cm)を放射状に伸ばして、短い柄に支えられた黄色い花を咲かせます。
 花には、がく片が9枚(3列に並んでいる)・先が2裂している花びらが6枚・おしべが6本(葯=やくには2つの弁=べんがある)・めしべ1本が見られます。
 名前は、ナンテンの仲間で、葉がヒイラギの葉に似ていることからつけられたものです。

 

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キャラボクの花 【イチイ科】
キャラボクの花 【イチイ科】
撮影日:2015年3月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 日本海側の高い山の風当たりの強いところに生えている常緑の低木(1~2m)ですが、庭や公園にも植えられています。雄の木と雌の木があります。 幹は短く、地面をはうように斜めに伸び上がり、たくさんの枝を分けています。細長くやや厚手で先の尖(とが)った葉(1.5~3cm)を、枝の周りにらせん状につけています。
 3~4月頃、小枝の葉の脇に花をつけます。雄花は、黄色い球形ですが、雌花は細長く緑色の鱗片に包まれています。秋になると雌の木には実のような赤いもの(多肉質の皮=仮種皮=かりしゅひに包まれた緑色の5mm程の種が入っている)ができます。
 名前は、牧野富太郎先生によると、この木の材を香料を採るトウダイグサ科のキャラ樹に見立ててつけられたということです。

 

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草の部

カントウタンポポの花 【キク科】
カントウタンポポの花 【キク科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 関東・東海・中部地方の東部の野原や道端によく見られる多年草(10~30cm)です。
 2月終わり頃から、ロゼットの中心に花の茎を伸ばして、その先に黄色い円盤状の花(頭状花=頭花・花径約4cm)を1つ咲かせます。頭花の外側は、緑の細い葉のようなもの(総苞=そうほう)に囲まれています(外側の総苞は内側の総苞の半分くらいか半分より短い長さである)。総苞の先には、角張った突起が見られます。総苞の内側には、黄色い花びらのような花(舌状花=ぜつじょうか)がびっしりつまっています。
 舌状花には、もとの部分が筒状になっている黄色い花びら・花粉袋(葯=やく)が筒状のくっついているおしべ(下に花糸が5本ある)・先が2裂しているめしべが見られます。さらに、めしべのもとにある子房の上部には、冠毛(かんもう)といわれる毛(がくにあたるもの)が見られます。

 

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オオイヌノフグリの花 【ゴマノハグサ科】
オオイヌノフグリの花 【ゴマノハグサ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 道端や土手の日だまりに群がって生えているヨーロッパ生まれの越年草です。明治の初め頃入って来ました。
 茎はもとの方で枝分かれして地をはうように四方に広がっています(15~30cm)。葉は、茎のもとの方のものは対生ですが、上の方では互生しています。葉の形は卵円形で、縁には円みのあるギザギザ(鋸歯=きょし)があり、茎と共に柔らかい毛が生えています。
 3~5月頃、葉の脇から出た細長い柄(約2.5cm)の先に藍(あい)色のすじの見られるコバルト色の花(花径約1cm)を1花ずつつけています。
 花には、もとから深く4裂しているがく・筒先が深く4裂して大きく広げている花びら・おしべ2本・めしべ1本が見られます。花の後には、2粒の球形の実が、がくに包まれるような姿でできます。
 名前は、花が終わった後にできる双=ふたこぶ状の実の様子が、イヌのふぐり(睾丸=こうがん)に似ているところからつけられたものです。

 

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ホトケノザの花 【シソ科】
ホトケノザの花 【シソ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 道端や畑などでよく見かける越年草(10~30cm)です。
 茎は紫色をしており、細い四角柱状をしていて、下の方でたくさん枝を分けて立ち上がっています。葉は、半円形で茎に対生しています。下の方の葉には柄がありますが、上の方の葉には柄がなく、茎を取り巻くようについています。葉の縁には、円みのあるギザギザ(鋸歯=きょし)があります。茎にも葉にも細かい毛が生えています。
 1月中頃から、紅紫色で唇を開いたような形をした花を、茎を取り巻くようについている葉の脇に数花ずつつけています。
 花には、先が5つに裂けていて毛が生えているがく(約5mm)・筒先が唇状に開いている花びら・花びらの中に4本のおしべ(内側の2本は長い)・めしべ1本が見られます。
 名前は、花を乗せている輪状の葉を仏の台座に見立ててつけられたものです。

 

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キュウリグサの花 【ムラサキ科】
キュウリグサの花 【ムラサキ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 道端や畑によく生えている越年草(10~30cm)です。
 根もとについている葉は、長い柄のある卵円形で放射状に群がってついています。上の方の葉は、両端が少し尖(とが)った細長い卵円形で離れて互生しています。茎も葉も白い伏(ふ)せ毛におおわれています。
 3~5月頃、茎の先にサソリの尾のように巻いた花の軸(巻散花序=けんさんかじょ)をつけ、花は軸のもとから先の方に向かって、柄のあるコバルト色の小さな花(花径約2mm)を次々に咲かせていきます。
 花には、がく(先が5裂していて毛が生えている)・コバルト色の花びら(5裂していて、花の筒部への入り口には黄色いふくらみ=副鱗=ふくりんが鱗状に見える)・おしべ4本・めしべ1本(子房に4つのふくらみがある)が見られます。
 名前は、葉や茎をもむとキュウリの臭(にお)いがするところから名づけられました。

 

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オオキバナカタバミの花 【カタバミ科】
オオキバナカタバミの花 【カタバミ科】
撮影日:2015年3月4日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 南アフリカ生まれの多年草(約20cm)です。明治の中頃、観賞用に取り入れられたものですが、今はあちこちに見られるようになっています。
 株もとから長い柄を伸ばして、その先に3枚の小さな葉(小葉-先がくぼんだ逆三角形)を広げています。小葉には、紫褐色の斑点(はんてん)が散らばって見られます。葉は夜になると下に垂れて閉じます。
 1月頃から花茎を伸ばして、その先に黄色い花(花径1.5~3cm)1~5花を次々に咲かせていきます。
 花ん井は、淡い緑色のがくが5枚(細かい毛が見られる)・黄色い花びらが5枚・おしべが10本(内側の5本は長く、外側の5本は短い)・めしべ1本(花柱は5裂して外側に曲がり、柱頭は細かい毛に囲まれている)が見られます。

 

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カラスノエンドウの花 【マメ科】
カラスノエンドウの花 【マメ科】
撮影日:2015年3月2日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 道端や野山の日当たりのよいところに生えている越年草(60~90cm)です。
 四角張った茎には、小さな葉(小葉=しょうよう)を3~7対(つい)つけている複葉を互生させています。複葉の先は長く伸びて枝分かれした巻きひげになり、物に巻きつきながら茎を支えています。複葉のもとには、縁にギザギザ(鋸歯=きょし)のある小さな葉(托葉=たくよう)がついており、托葉には、蜜を出している赤紫色の斑点(はんてん)も見られます。
 花は、紅紫色のチョウが飛んでいるような形の花を、葉の脇に1~2花ずつ咲かせています。花には、筒先が5裂しているがく・花びら5枚(上の1枚は目立って大きい旗弁、そのすぐ下に左右2枚の翼弁、その下には舟のへさき形に接している2枚の花びら舟弁が見られる)・おしべ10本(9本はもとが筒形についており、1本だけは離れている)・めしべ1本(筒状のおしべの中から、めしべの先=柱頭をのぞかせている)が見られます。
 名前は、実が熟(う)れると烏の羽のように黒くなることからつけられたものです。

 

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ナズナの花 【アブラナ科】
ナズナの花 【アブラナ科】
撮影日:2015年3月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 道端や庭などに普通に生えている越年草(約30cm)です。
 茎は真っ直ぐに伸び上がっており、葉と共にまばらに毛が生えています。地面に広げている葉(根生葉=こんせいよう)は、四方八方に葉を広げています。葉の先は円みがありますが、もとの方には深く切れ込んだ裂片が見られます。
 春になると、茎の先の方に長い柄に支えられた白い花の集まり(総状花序)をつけますが、花は、茎のもとの方から上に向けて順に咲き上がっていきます。
 花には、長いだ円形のがく(約1mm)が4枚・白い花びら(約2mm)が4枚・おしべが6本(4本は長く、2本は短い)・めしべ1本が見られます。咲いている花の下の方には、三味線(しゃみせん)の撥(ばち)の形に見える三角形の実ができています。
 名前は、撫(なで)撫でしたくなるような可愛らしい草という意味でつけられたのではないかという考えがありますが、はっきりしません。

 

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タネツケバナの花 【アブラナ科】
タネツケバナの花 【アブラナ科】
撮影日:2015年3月3日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 草地によく生える越年草(10~30cm)です。
 茎は、根ぎわからたくさん生え出していますが、真ん中の茎は、真っ直ぐに立ち上がって花や実をつけます。葉は下の方で密に互生しています。1枚の葉は小さく羽状にさけていますが、1番先の小葉は大きく、もとの方の小葉は小さくなっています。
 花は、2月末ごろから茎の先の方にたくさん咲きますが(総状花序)、花は下のものから順に上に向かって咲き上がっていきます。花の後には細長い実が次々にできます。
 花には、がくが4枚(約2mm、暗い紫色で卵状の長いだ円形)・白い花びらが4枚(3~4mmで、もとが細くなった長いだ円形)・おしべが6本(4本は長く、2本は短い)・細長いめしべ1本が見られます。
 名前は、苗代(なわしろ)をつくる前に種もみを水につけるが、その頃に花が盛んに咲くことからつけられたといわれています。

 

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コハコベの花 【ナデシコ科】
コハコベの花 【ナデシコ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 庭や道端に普通に生えている越年草(10~30cm)です。
 茎は円柱形で、下の方で枝を分けて横にはわせています。普通は紫色をしており、片側には1列に白い毛が生えています。葉は、先の尖(とが)った円い卵形で、茎に対生しています。下の方の葉には長い柄がありますが、上の方の葉には柄がありません。
 冬を過ごしたものは、立春を過ぎた頃から枝先の葉の脇に、白い花をつけ始めます。花は短い柄に支えられていて、緑色のがくが5枚(先の尖った長い卵形)・白い花びらが5枚(深く切れ込んでいるので10枚に見える)・おしべが1~6本・めしべ1本(花柱=かちゅうが3つに割れている)が見られます。
 名前は、おしべが10本前後あって草全体が大柄なハコベより小柄なハコベという意味でつけられた名前です。ハコベの名前の由来は分かりません。

 

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スズメノヤリの穂 【イグサ科】
スズメノヤリの穂 【イグサ科】
撮影日:2015年3月1日  撮影場所:千代田区北の丸公園
 草地に生えている多年草(10~20cm)です。
 葉(7~15cm)は、根ぎわからたくさん出ていますが、真っ直ぐに伸び上がっている茎と共に、白くて長い毛が生えています。茎の先には、赤褐色の球形の花の集まり(頭状花=頭花)を1つつけています(まれに2~3穂つくこともある)。
 頭花には、がくや花びらのようなもの(花被・約3mm)が6枚・おしべが6本(約2mm)・めしべ1本(先が3つに割れており、おしべより長い)が見られます。
 名前は、茎の先についている頭花の様子が、昔の大名行列で使われていた毛槍(けやり)に似ていることからつけられました。

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