自然と友だち


信州の年の暮れ、新たな年

 昨年の暮れの初頭から、新年を迎えたころまで、年をまたいだ初冬の信州の自然をお届けします。今年のお正月は、天気もよく穏やかな日々でした。暖冬のせいか、1月初旬はまだ、例年やってくる小鳥たちの姿を見ることができませんでした。逆に、思わぬところで春の訪れを感じられるような花が咲いているのを見ました。このあと雪が降り、いつもの信州の冬がやってきました。


撮影・解説:加納巌

加納さんに質問やメッセージをどうぞ。
http://www3.jsf.or.jp/mlmaster/



 

初冬のクモ スズメがヒマワリの種を食べる 天竜川の水鳥 初冬の山路 ジョウビタキとルリビタキ
初冬のクモ スズメがヒマワリの種を食べる 天竜川の水鳥 初冬の山路 ジョウビタキとルリビタキ
フキノトウが顔を覗かせる 2015年大晦日の花と虫 2016年−元旦の桜 カタツムリの越冬 やはり暖冬
フキノトウが顔を覗かせる 2015年大晦日の花と虫 2016年−元旦の桜 カタツムリの越冬 やはり暖冬



 





自然の生き物の不思議な生態を見る


【初冬のクモ】
2015.12.8
 温かいサンルームで昼食をとっていたら、一匹の足の長いクモが皿の上に這い上がってきました。体は細く小さいのに、8本の足は体の3倍ほどと長く、その足をゆっくりと運びながら皿の中央で静止しました。早速手元のカメラで撮影し、図鑑で名前を調べました。「イエユウレイグモ」のようです。この時期、クモが生きているなら夏の間、沢山のジョロウグモがいた荒神山のツツジ園のクモはどうしているだろうかと出掛けてみました。
 いました、破れた網の真ん中でじっとしているジョロウグモ、少しくらい触っても、ほとんど動かず、わずかに足を動かす程度です。見回ったら、数匹のクモを目にすることができました。前後の足で糸を引っ張って空中に浮いているもの、一本の糸にぶら下がっているもの、中にはすでに網の真ん中で死んでいるものもありました。卵をどこかに産み付けてあるかと、糸の先、周りを丹念に探しましたが、それらしきものは見当たりませんでした。
足の長いイエユウレイグモ
公園のジョロウグモ
横に張られた一本の糸につかまり浮いているジョロウグモ
ぶら下がっているクモ
すでに死んでいるクモ


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【スズメがヒマワリの種を食べる】
2015.12.11
 今まで庭でスズメがヒマワリの種を食べるのを余り見かけなかったが、最近はシジュウカラやヤマガラがヒマワリの種を食べるのを見て、ヒマワリの種を盛んに食べるようになりました。シジュウカラやヤマガラのように、ヒマワリの種を両足で押さえて、くちばしで皮を剥いで食べることは出来ませんので、スズメはヒマワリの種を口の中に入れ、もぐもぐと口の中で時間をかけ皮を剥いで食べています。そのため長い時間餌場に居座り、シジュウカラやヤマガラは近くの枝で待たされることになりました。そこで窓際に新しく餌台を作ってあげたが、その両方ともスズメの優先席となってしまいました。
待たされるシジュウカラとヤマガラ
新しい餌場もスズメが優先


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【天竜川の水鳥】
2015.12.14
 この時期になると、天竜川のあちこちでカモ等の水鳥を多く見かけるようになります。緩やかな流れのところでは、カモが10〜20羽と集まって泳いでいたり、流れに逆らって泳いでいるもの、水かさの少なくなった水面に現れた大きな石の上に上がって休むもの、人が近づくと一斉に飛び立ちます。
 川岸で、一羽づつ、じっと水面をみつめて立つダイサギやアオサギ、こちらはカモよりも警戒心が強く、5〜60メートル余の距離を保たないと舞い立ってしまいます。舞い立ったアオサギが木の枝にとまりました。
 何時も集団で移動するカワウが、何故か1羽だけで石の上で背伸びしているのも見かけました。横にはカワアイサのメスも泳いでいます。
 そんな水鳥たちに“水は冷たかろうに”と思いながらカメラを向けました。


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【初冬の山路】
2015.12.22
 今年も残すこと僅かになったので、夏の間、花や蝶の撮影によく出掛けた小横川へ、初冬の様子を見に出掛けました。上流まで約8キロ程の山道を4時間掛けて、写真を撮りながら歩きました。道に雪は無く、道の両側と、林の中、笹やぶには薄っすらと雪が積もっていました。 沢川に降りると、流れの飛沫が、川の上に横たわった木や岩に付いてツララを吊していました。 勿論、蝶や昆虫の姿は見ることができませんでした。
落ち葉に載る雪
林の中には、うっすらと雪が積もる
飛沫が、倒木や岩にツララを作っている


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【ジョウビタキとルリビタキ】
2015.12.25
 最近よく似た鳥が、交互に庭に来るようになりましたが、よく見ると羽の色が少し違うので写真に撮り、図鑑で調べたら、いずれも雌ですが、一方は「ジョウビタキ」(羽の翼の脇に白斑がある)で、一方は「ルリビタキ」(翼に白斑が無く、全体特に尾翼にルリ色が見られる)とわかりました。庭に置いた赤い実(マムシグサ・サンシュユ・ヒヨドリジョウゴ)を啄んでいます。
ジョウビタキ
ルリビタキ


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【フキノトウが顔を覗かせる】
2015.12.25
 暖冬と言われる年の暮れ、早くも早春のフキノトウが顔を覗かせていると言うので、川島の南向きの土手に行ってみました。枯れ草の中から緑のフキノトウが既に花を咲かせているものもあり、思いのほか沢山見つけましたので、採ってきて「フキ味噌」を作りました。香りがキッチン一杯に広がり、ほろ苦い早春の味を楽しむことが出来ました。


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【2015年大晦日の花と虫】
2015.12.31
 大みそかの日中散歩がてら近くの公園へ行ったら、南向きの陽だまりに小さな花と虫を見つけ写真に撮りました。家に帰ったら、サンルーム内のガラスで蝶が自分とお見合いをしており、クモは天井に張った破れた網に足を絡ませて陽を浴びていました。触ると“まだ生きているよ”と少し足を動かしました。2015年最後の花と虫の写真です。
タンポポ
ナズナ(ペンペングサ)
ホトケノザとカタバミ
オオイヌノフグリ
アキノキリンソウ
ナナホシテントウ
ウヅキコモリグモ♀
ヒラタアブの仲間
オオヨコバイ
ベニシジミ
モンキチョウ
ジョロウグモ


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【2016年−元旦の桜】
2016.1.1
 暖かく穏やかな正月、近くの公園の桜が咲いていると言うので行ってみました。沢山ある桜の樹の内、3本の樹に咲いていました。高い所に咲いているので仰ぎ見て撮りましたが、下枝の一部にも咲いていたので、背伸びして撮りました。昨夜、うっすらと雪が降ったので、角度を変え、何とか雪をバックに桜の花を撮りました。


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【カタツムリの越冬】
2015.12.5
 我が家の玄関脇のタイル壁に、カタツムリが1匹貼り付いているのを見かけたので、側にある植木鉢を移動したら、その下に2匹のカタツムリがいました。そこで、夏の間、沢山のカタツムリが集まっていた団地内の石垣にいたカタツムリ達はどうしているだろうかと見に行きました。
 石垣面には1匹も見当たらず、石垣の根元の草をかき分けてみたら、半分殻を土に埋めるように、何匹かのカタツムリがいました。1つ手にしてみると、殻の入り口は透明な膜でふさがれていました。カタツムリの越冬状態を見るのは初めてです。元のように草をかぶせておきました。


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【やはり暖冬】
2016.1.7
 標高800メートル、伊那市細ケ谷、平年なら雪があるのに、今年は暖冬、フクジュソウ(福寿草)、ウメ、ロウバイが咲いているとの報らせに、早速撮影に出掛けました。
 南に面した陽当たりのよい住宅の庭先に、黄金色のフクジュソウの花が何輪か咲いており、側のジンチョウゲの蕾みも赤く膨らんでいました。家の横に植えられている梅の木には、白い花が沢山咲いており、少し離れた家の庭では、ロウバイの花が満開だというので、その家を教えてもらい行ってみました。高さ3メートル程に枝を広げた木には黄色い花が満開でした。花を接写して見ると、名前の通り「ロウ細工」のような薄い花びらが八重に開いていました。横にあるコブシの蕾みも、大部膨らんでいました。帰りに市内の病院の紅梅が満開だというので、立ち寄って写真を撮ってきました。地元の人の話では、例年より2ヵ月も早い開花だと言います。やはり“暖冬”なんでしょうか。


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