科学技術館メールマガジン バックナンバー


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  ━  ◆ 科 学 技 術 館 メールマガジン ◇ 第204号 ◆  ━
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                             >>>2008/10/15発行
  
   こんにちは。科学技術館です。
  
   当メールマガジンは毎週水曜日発行です。ご愛読よろしくお願いします。
   北の丸公園のイチョウの木には、今年もたくさんの実がなりました。実の
   なる木を探すのも、秋の楽しみの一つです。
  
   * このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
  
   本号の配信数 6,998人。
  
  
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   【1】科学技術館News
       新着情報・・・「日本のノーベル賞科学者展」
              「日本のノーベル賞科学者展 講演会」
              「ウインター・サイエンスキャンプ
                      ’08−’09」参加者募集中
       お知らせ・・・今週のユニバース
  
   【2】科学技術館Laboratory
       科学・技術よもやま話・・・「極小の世界の物理学」
       日本の科学者像・・・「八木秀次」
  
   【3】科学技術館Recommends
       科学の本の紹介・・・今月のテーマ
                  「クモやクモの巣について」の本
       他館の紹介・・・所沢航空発祥記念館、船の科学館
  
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  【1】      ★ 科 学 技 術 館 News ★
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  ◆ 新着情報
  
   ■ 日本のノーベル賞科学者展 ■
   
    平成20年は、4人の日本人がノーベル賞を受賞されました。今回受賞
   された研究内容や、これまでのノーベル賞受賞の日本人科学者の業績を紹
   介いたします。
  
   展示期間:平成20年10月16日(木)〜11月9日(日)
   展示場所:5階フォレスト
   
   詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
   http://www.jsf.or.jp/info/2008/10/post_151.php
  
   ■ 日本のノーベル賞科学者展 講演会 ■
    
    特別展の開催に合わせ、今回のノーベル賞受賞業績に関する研究内容の
   解説を予定しています。
    
   開 催 日: 平成20年10月18日(土)
   時  間: 調整中
   開催場所: 4階 シンラドーム
   定  員: 62名(シンラドーム定員) 当日先着順
  
   最新の情報は、以下のホームページのお知らせをご覧ください。
   http://www.jsf.or.jp/
  
   ■ 高校生のための先進的科学技術体験合宿プログラム ■
    「ウインター・サイエンスキャンプ ’08−’09」参加者募集中
  
    ウインター・サイエンスキャンプ ’08−’09は先進的な研究施設
   や実験装置を有する日本各地の大学・公的機関(13会場)で、冬休み期
   間中に本格的な実験・実習が受けられる、高校生のための科学技術体験合
   宿プログラムです。
    今回はノーベル物理学賞に貢献した「高エネルギー加速器研究機構」で
   のプログラム、化学賞で話題の「オワンクラゲの蛍光タンパク」を用いた
   プログラムなどもあり、またその他のプログラムも充実した内容となって
   います。
    あなたもサイエンスキャンプで“未来のノーベル賞”に出会えるかも!!
  
    詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://ppd.jsf.or.jp/camp/
  
  ◆ お知らせ
  
   ■ 今週のユニバース ■
  
    科学ライブショー「ユニバース」は、特別展「日本のノーベル賞科学者
   展」の講演会のため、休演させていただきます。
  
    メールマガジン前号にはお知らせが間に合いませんでしたが、先週は急
   遽ゲストとして理化学研究所の鈴木博さんを迎え、今年のノーベル物理学
   賞を受賞された南部先生・小林先生・益川先生の研究についてご紹介いた
   だきました。
    リニューアル前にご好評をいただいていた「ゲストコーナー」も今後再
   開していく予定です。どうぞお楽しみに。
  
    科学ライブショーの詳細や出演予定者については、
    http://universe.chimons.org/jsf/ をご覧ください。
  
  
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  【2】   ★ 科 学 技 術 館 Laboratory ★
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  ◆ 科学・技術よもやま話
  
   ■ 極小の世界の物理学 ■
  
    今年はノーベル物理学賞とノーベル化学賞を、日本生まれの科学者4人
   が受賞することになりました。大変嬉しいことですね。受賞理由となった
   研究の内容が気になる方も多いと思います。しかし、身の回りの現象や科
   学技術との関係を理解するのは、なかなか難しいものです。
    現代の物理や化学の研究は、人間の感覚ではとらえづらい極限の世界を
   扱っているからでしょうか。例えば1億分の1mm−原子や分子の大きさ
   程度の、人間にとって非常に小さい世界は、日常の世界の一部に違いあり
   ませんが、直感的には信じがたい物理法則 −いわゆる「量子力学」− 
   が支配的になります。「量子」とはエネルギーなどの物理量の最小単位を
   意味します。日常的な物理法則「ニュートン力学」によれば、垂直跳びの
   高さは1cmでも50cmでも、力の及ぶ限り何cmでもかまいません。
   しかし「量子力学」では、例えば10cmの整数倍しか跳べないというよ
   うな、とびとびの現象がおこります。一方で、10cmしか跳べない人が
   50cmの高さの壁をすりぬけるようなことも起きます。不思議ですがこ
   のような法則がなければ、マイナスの電荷を持つ電子は、あっと言う間に
   プラスの電荷を持つ原子核とくっついてしまい、原子や分子は存在できな
   くなるという大変重要な理論です。その創始者と言われるドイツの物理学
   者マックス・プランク博士は、1918年のノーベル物理学賞を受賞しま
   した。
    化学において量子力学を使うと、例えばある形をした分子のどの部分に
   電子が溜まっていて、どの部分が電子を受け入れやすいかということがわ
   かります。これを考えるのに重要な方法「フロンティア軌道理論」を提唱
   した日本の化学者福井謙一博士は、1981年のノーベル化学賞を受賞し
   ました。これによって化学者が思い通りに分子を設計・製造することが簡
   単になり、工業的にも科学の発展にも役立っています。
    このようなわけで、量子力学は科学の世界では今や常識であり、教科書
   もたくさん出版されています。化学を簡単に学ぶために、高校生のうちか
   ら量子力学を独学で始める人も少なくないようです。興味のある方は、書
   店で探してみてはいかがでしょうか?きっと世界を見る目が変わることで
   しょう。
  
    執筆者:丸山義巨 科学技術館事業部
  
    「科学・技術よもやま話」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/y_index.html
  
  ◆ 日本の科学者像
  
   ■ 第5像 ■
     電波を心眼で見る男 世界中の屋根を制した電波工学者 八木秀次
  
    今号では、皆さんの家の屋根にも取り付けられているテレビ受信アンテ
   ナ(八木・宇田アンテナ)を開発した、八木秀次をご紹介します。
    日本人初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹は、大阪帝国大学の講師時
   代に、秀次に激励され、受賞の対象となった中間子論の論文を書き上げた
   のでした。
  
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/monument/005/05_1015.html
  
  
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  【3】   ★ 科 学 技 術 館 Recommends ★
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  ◆ 科学の本の紹介
  
    今月は、クモやクモの巣についての本を紹介しています。
  
   ■ 『8本あしのゆかいな仲間』 ■
     谷本 雄治 文 つだかつみ 絵 くもん出版
  
    「クモがすきですか、きらいですか?」
   56%が嫌い、31%が好き、どちらでもないが31%。皆さんはいかが
   ですか?
    この本は、クモのことがやさしい絵で描かれています。紹介されている
   クモの面白い習性や、クモを使った遊びなど楽しいクモワールドを覗いて
   みると、読み終えた時にはきっとクモに愛着をいだいていることでしょう。
    クモも植物や微生物の一部と同じように、二酸化炭素を空気からもらっ
   て糸を作り出しているという能力を生かせば、地球温暖化現象を解決する
   のに役立つかもしれませんね。
    また、『クモの巣と網の不思議 多様な網とクモの面白い生活』(池田
   博明 編 文葉社)には、垂直円網、蹄形円網、水平円網など様々なクモ
   の網が紹介されています。造網の手順などの説明にわかりやすい手書きの
   図が使われています。
    「クモはなぜ自分の網にかからないのですか?」「クモによってエサの
   大きさと糸の強さは違いますか?」などの質問の答えを読み進むうちに、
   一つ一つの疑問が晴れてきて、身近なクモをもっともっと観察したくなる
   一冊です。大人向けですが、中学生からでもわかる内容です。あわせて手
   にとってみてください。
  
    執筆者:伊藤一美 科学読物研究会
  
    この本の表紙はこちらのURLをご参照ください。
    http://kagakuyomimono.cool.ne.jp/hon/7musekitsui/8ponashinoyukainanakama/8ponashinoyukainanakama.html
  
    科学読物研究会ホームページ http://kagakuyomimono.cool.ne.jp/
  
    「科学の本の紹介」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/b_index.html
  
  ◆ 他館の紹介
  
   ■ 所沢航空発祥記念館 ■
  
   ☆ 科学実験ショーのご案内
    実験名人による科学実験ショーを以下のとおり開催します。
  
    開 催 日:平成20年10月25日(土)・26(日)
    実施時間:13時30分〜、15時15分〜
    実施場所:展示館1階
  
    詳細は、以下のホームページをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum5/viewcat.php?cid=1&orderby=dateD
  
   ■ 船の科学館 ■
  
   ☆ 「セーリングカヌー体験乗船」開催のお知らせ
  
    風の力を帆に受けて海の上をすべるように走る、セーリングカヌーの体
    験乗船です。各艇にはチームニシムラのインストラクターが乗船してい
    るので、初めての人でも気軽に体験することができます。
  
    開 催 日:平成20年10月19日(日)・11月9日(日)
    時  間:11時〜16時(15時30分受付終了)
    開催場所:“宗谷”“羊蹄丸”中間海域
    参 加 費:無料
    そ の 他:荒天の場合中止となります
  
    詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
    http://www.funenokagakukan.or.jp/news/?p=145
  
  
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             ★ 担 当 者 よ り ★
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   ■ アイディアが生まれる場所は? ■
  
    ノーベル物理学賞を受賞することに決まった益川先生が、クォークが3
   つではなく6種類あると考えついたのは、お風呂の中だったそうです。こ
   の話を聞いて、かのアルキメデスがEureka !(ユァリーカ! =
   分かった!)と叫んだのもお風呂だったと連想したのは、筆者だけでしょ
   うか。アルキメデスは、王冠の金の純度を調べる方法を浮力の問題として
   みればいいと、たぶん、自分の身体が軽くなったことで気づいたのでした。
    ところで、皆さんはお風呂の中とか、布団の中で、いいアイデアを思い
   つくことがありませんか? そのことに集中していると、ふっと名案が浮
   かぶことがあるのです。ノーベル物理学賞の大先輩である湯川先生が、寝
   床で中間子理論を発想されたのは有名な話ですね。たしか「旅人」(角川
   文庫)という自叙伝に書いてあったと思います。でも、それは「果報は寝
   て待て」ではないようです。「2年かかりました。どうすれば問題が解決
   できるのか、四六時中、常に考え続けること。それしかありません」と、
   南部先生がおっしゃっています。考えに考えを重ねていると、急に目の前
   の視界が開けるようなことがあると。流行の言葉でいうと、セレンディピ
   ティ(serendipity)に近いのでしょうか。
    今年の物理学賞は、このお二人と小林先生の3名で、うれしいことに日
   本が独占してしまいました。化学賞でも、下村先生が最高の栄誉に光り輝
   きました。下村先生が光る物質を研究することになったのは、名古屋大学
   の平田先生にテーマを与えられたことからだそうです。平田先生のお名前
   を見て、野依先生が先月、「私の履歴書」(日本経済新聞)に書かれてい
   たことを思い出しました。「(平田先生は、)答えが見えているような問
   題はやらない。気宇壮大で異質の研究流儀だった」とあり、大いに刺激を
   受けられたようです。異質とか、異端とか言われるほどの強靱な思考力と
   忍耐力に加えて、羅針盤役を果たすよき指導者も、大きな研究成果を出す
   には必要なのですね。
    皆さんは問題が解けないときに、どれだけがんばって考えていますか?
   1日ですか、それとも1週間でも耐えられる? がんばって、ようやくで
   きた時の「うれしさ」は本人にしか分からないものです。アルキメデスは
   喜びのあまり、ストリーキングをしちゃった、と伝えられています。
  
                        (企画広報室 吉田 浄)
  
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    最後までお読みいただきありがとうございました。
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