科学技術館メールマガジン バックナンバー


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  ━  ◆ 科 学 技 術 館 メールマガジン ◇ 第263号 ◆  ━
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                             >>>2009/12/22発行
  
   こんにちは。科学技術館です。
  
   当メールマガジンは毎週水曜日(祝日に当たるときは前日)発行です。
   ご愛読よろしくお願いします。
   このところ、関東地方はよいお天気が続いています。通勤時には、まっ白
   い富士山を見ることができます。毎年変わらない冬の情景です。
  
   * このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
  
   本号の配信数 8,322人。
  
  
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   【1】科学技術館News
       新着情報・・・年末年始の休館・閉館時間のお知らせ
       お知らせ・・・FORESTクリスマスイベント
                         ―星と雪のクリスマス―
              「今週のユニバース」
  
   【2】科学技術館Laboratory
       科学・技術よもやま話・・・「2009年を振り返る」
       自然と友だち・・・「歳の暮れ・・・自然の姿」
  
   【3】科学技術館Recommends
       科学の本の紹介・・・12月のテーマ「鳥の観察」に関する本
       他館の紹介・・・所沢航空発祥記念館、船の科学館
  
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  【1】      ★ 科 学 技 術 館 News ★
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  ◆ 新着情報
  
   ■ 年末年始の休館・閉館時間のお知らせ ■
  
    科学技術館は、年末年始に休館及び閉館時間の変更をいたします。
  
     年末:2009年12月28日(月)15時閉館
     休館:2009年12月29日(火)〜2010年1月3日(日)
     年始:2010年1月4日(月)から通常開館
  
  ◆ お知らせ
  
   ■ FORESTクリスマスイベント ―星と雪のクリスマス― ■
  
    12月はクリスマスの季節。科学技術館FORESTでは、クリスマス
   に楽しめるプログラムをたくさん用意しました。みんなで一緒に、楽しい
   クリスマスを準備しませんか?
  
    開催期間:2009年12月25日(金)まで
    開催場所:5階FOREST
    参 加 費:無料(入館料は必要です)
  
    詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2010/01/post_216.php
  
   ■ 今週のユニバース ■
  
    土曜午後の科学ライブショー「ユニバース」では、4階シンラドームの
   スクリーンに全天周のシミュレーション映像を投影し、地球から太陽系、
   恒星の世界、銀河の世界、そして宇宙全体のお話をお伝えします。
    本年最後のユニバースには、アメリカ合衆国のヤーキス天文台からも、
   クリスマス休暇前に撮影した天体画像がプレゼントとして届く予定です。
  
    案内役:半田 利弘さん(東京大学)
    ゲスト:藤岡 洋さん(東京大学)
  
    科学ライブショーの詳細や今後の出演予定者については、
    http://universe.chimons.org/jsf/ をご覧ください。
  
    年明け最初の土曜日1月2日は年始のため休館です。
    科学ライブショー「ユニバース」は9日から再開します。お楽しみに。
  
  
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  【2】   ★ 科 学 技 術 館 Laboratory ★
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  ◆ 科学・技術よもやま話
  
   ■ 2009年を振り返る ■
  
    2009年も残り10日を切りました。みなさん、新年を迎える準備は
   進んでいますか?2010年を迎える前に、今年の気象概況について振り
   返ってみましょう。
    まずは冬(昨年12月〜今年2月)。気温は全国的に高く、特に関東甲
   信地方と北海道、沖縄・奄美地方ではかなり高くなりました。全国的に降
   水量が多く日照時間が少なかったですが、北陸地方はその逆となりました。
    つづく春(3月〜5月)は、西日本では雨が少なく、日照時間が多くな
   りました。
    夏(6月〜8月)。太平洋高気圧の張り出しが弱く、梅雨明けが遅く、
   中国地方、北陸地方、東北地方南部・北部は梅雨明けが特定されませんで
   した。「平成21年7月中国・九州北部豪雨」が発生するなど、各地でも
   大雨になりました。北海道では降水量が平年の140%を上回った地点も
   あり、日照時間の最小値を更新した地点もありました。
    そして秋(9月〜11月)。9月は全国的に日照時間が多く、降水量は
   少なくなりました。沖縄・奄美地方は、9月としては1946年以降で最
   も気温が高くなりました。しかし10月には台風18号が本州に上陸・縦
   断し、沖縄から北海道にかけ各地で暴風や大雨となり、千葉県や茨城県で
   は竜巻が発生しました。2008年には台風の上陸がなかったので、
   2007年9月以来、約2年ぶりの台風上陸でした。
    この台風が上陸した10月8日は当科学技術館も臨時休館となりました。
   前日に「明日臨時休館にするか」を決める会議に招集され、台風の進路に
   ついて予想・説明をしたのですが、伊勢湾台風から50年にあたる今年、
   似た進路をとる台風が上陸したのには、何か教訓めいたものを感じました。
    こうして振り返ってみると、今年もいろいろありました。来年はどのよ
   うな年になるのでしょうか。みなさんにとって明るく良い年となりますよ
   うに…。
  
   ※今年の気象に関して違った印象を持たれている方もいらっしゃるかもし
    れませんが、あくまで概況を振り返ったものですので、ご容赦ください。
  
    執筆者:荻野亮一 ワークショップ・実験担当、気象予報士、防災士
  
    「科学・技術よもやま話」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/y_index.html
  
  ◆ 自然と友だち
  
   ■ 歳の暮れ・・・自然の姿 ■
  
    本格的な冬の訪れ、歳の暮れは虫たちもみんな冬ごもりに入り、さみし
   いものです。でも、日だまりで白いチョウを発見、キャベツ畑では葉の上
   にまるまるとしたアオムシや、その近くで蛹も発見しました。草むらでは
   まだ生き残っていたオオカマキリやその卵のうも発見。
    虫たちは冬ごもりですが、野鳥たちは冬でも元気に飛び交っています。
   木の実を求めて次々と野鳥がやってきました。冬の宝さがしは楽しいもの
   です。
    冬は、花などは・・・と思っても、フユザクラの花やツバキの花、真っ
   赤なモミジの色どりが青空に映え、美しいものです。
    今年もいよいよ最後の「自然と友だち」!もちろん、来年も続きます。
   乞うご期待!
  
    「歳の暮れ・・・自然の姿」の写真
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/ss54/
  
    執筆者:松田邦雄 サイエンス友の会 講師
  
    「自然と友だち」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/t_index.html
  
    ハンドブック「散歩のおとも〜北の丸公園の自然」好評発売中!
    ハンドブックのお求め方法
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/otomo/otomo.htm
  
  
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  【3】   ★ 科 学 技 術 館 Recommends ★
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  ◆ 科学の本の紹介
  
    12月は「鳥の観察」というテーマです。今週は、自然のすばらしさを
   感じられる鳥の本です。
  
   ■ 『野鳥記』 ■
     平野伸明 写真・文 福音館書店 1997年6月 3,570円
  
    身近に見られる野鳥の生態を、4月から月をおって1年間、1200枚
   の美しい写真で紹介しています。雑木林、川、畑などの様子から、季節の
   移りかわりや、野鳥を取り巻く環境、自然のすばらしさも感じられます。
    シジュウカラが1日に100匹以上のいろいろな種類の虫をヒナに運び、
   栄養バランスのいい食事をさせていることには驚きます。シティライフ
   (ビルに住むチョウゲンポウ)、別世界(街路樹の巣)などの様子は、興
   味深いです。
    身近な鳥の写真なので、観察への興味もわいてきます。都会の人気者
   (カルガモ一家)や軒下の訪問客(ツバメの巣づくりから子育て)の様子
   は、なじみやすいです。
    伸縮自在(アオサギの首)、カモのお色直し(エクリプス羽から繁殖羽
   へ)、光の波長(カワセミの羽の色の変化)、プロフェッショナル(カワ
   セミの魚とり)などのテーマは、実際に観察しましたが、写真のすばらし
   さに、労を惜しまない撮影の尊さを感じ、見るたびに感動します。
    幼児から大人まで楽しめる本です。
  
    執筆者:渡辺貴子 科学読物研究会
  
    この本の表紙はこちらのURLをご参照ください。
    http://kagakuyomimono.cool.ne.jp/hon/8sekitsui/yachouki/yachouki.html
  
    科学読物研究会ホームページ http://kagakuyomimono.cool.ne.jp/
  
    「科学の本の紹介」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/b_index.html
  
  ◆ 他館の紹介
  
   ■ 所沢航空発祥記念館 ■
  
   ☆「紙ブーメラン工作教室」のお知らせ
  
     板目紙を使って紙ブーメランをつくって飛ばしてみましょう。できあ
    がったブーメランは、持ち帰りできます。
  
    開 催 日:2009年12月26日(土)・27日(日)
    開催時間:10時〜16時(昼休憩12時〜13時30分)
    開催場所:展示館内 ヘリコプター前
    定  員:100名(材料がなくなり次第終了)
    参加方法:当日先着順
  
   ☆「凧工作教室」のお知らせ
  
     こまの形をした「こま凧」をつくります。自作の凧を大空にあげてみ
    ましょう。
  
     開催日時:2010年1月3日(日)13時〜
         (12時30分より受付開始)
     開催場所:1階研修室
     定  員:30名
     参 加 費:200円
  
    詳細は、以下のホームページをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum0/viewcat.php?cid=1
  
   ■ 船の科学館 ■
  
   ☆「Happy Night view in 船の科学館 〜東京港の夜景を楽しもう!!」
     開催のお知らせ
  
    船の科学館では、開館(1974年)以来初めて冬の展望塔を開放しま
   す。お台場の最高の夜景を、季節限定でプレゼント!すばらしい夜景をお
   楽しみください。
  
    開催期間:2009年12月12日(土)〜2010年1月11日(月)
         期間中の土・日・祝日に開催
    開催場所:船の科学館 展望塔
    参 加 費:500円(展望塔料金、飲みもの代など)
    参加方法:当日、直接ご来館ください
  
    詳細は、以下のホームページをご覧ください。
    http://www.funenokagakukan.or.jp/news/?p=398
  
  
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             ★ 担 当 者 よ り ★
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   ■ 年越しに思うこと ■
  
    年末を迎えています。「もう いくつ寝ると…」新しい年になります。
    ところで、歳を一つ取ると、何かが変わるのでしょうか? ヒトは歳を
   取るにつれて顔の皺(しわ)が増えていくといいますが、あまり科学的で
   ないかもしれませんね。でも、…女性にとっては…、とても重要なことの
   ようです。ところで、樹木は「年輪」を一つずつ着実に増やしていきます。
   1年のうちの寒暖の差により縞が形成されるのです(注1)が、年輪は当
   時の気候変動の影響を反映しており、その木が生長を始めた頃から伐採さ
   れるまでの年輪記録を「標準パターン」と比較すると、正確に年代を割り
   出すことができるというわけです。
    少し前に、何気なくテレビを点けていたら、法隆寺の金堂(現存する世
   界最古の木造建築物)は、670年の旧法隆寺(若草伽藍)全焼後に建立
   されたのではなく、一時期併存していたようだという解説が流れていまし
   た。その根拠とされるのが「年輪」です。金堂に使われている部材の年輪
   を調査したところ、若草伽藍が消失する前に伐採されていることがわかり、
   当時の用材の利用方法を考えると、「焼失したから再建したのではない。」
   という可能性が出てきたのだそうです。日本史の世界では、明治時代から
   の難問である法隆寺論争に、一石(いや、一木か?)を投じる研究となり
   ました。この「年輪年代測定法」は、このほど解体修理が完了した唐招提
   寺金堂の調査でも活躍しています。
    この年輪に記録されている時間は、主として調査できるのが建築物の用
   材であることから、100年程度の期間ですが、自然の中には、桁違いに
   長い期間の気候変動を連続して記録しているものがあります。たとえば、
   南極やグリーンランドの分厚い「氷」。これらの地域では、過去数十万年
   間の大気の変化が氷の中に封じ込められています。この「氷床コア」を採
   掘して気象変動の研究が進んでいます(注2)。
    もう一つは、湖の底に堆積している「泥の層」。大きな地殻変動がない
   とか、流れ込む川の流量が小さいとか幾つかの好条件を備えた湖の湖底に
   は、大昔から今日まで年毎に沈殿した堆積物が「縞」のようになって積も
   っています。湖底にパイプを挿し込んで泥を採取して分析してみると、花
   粉や種子、葉、火山灰などがごく薄い層になって年代順に重なっています。
   この「年縞(ねんこう)」を顕微鏡を使って丹念に調べていくことで、過
   去数万年間に起きた地球の気候変動の様子を知ることができるのです(注3)。
    この研究は理系分野ですが、この「環境の歴史」と、文系が主流の「人
   類の歴史」を時系列で重ね合わせてみると、歴史上の大きな変化が起こっ
   た時期と、気候の大変化の時期とが符合していることがわかってきました。
   世界四大文明の地が、今、いずれも大乾燥地域であるのは不思議ですね。
   もっと気候のいいところに人類は住みつくはずでしょう。とすれば、
   5,000年の間に、大きな変化があったことになります。西ヨーロッパ
   の歴史は、フン族の侵攻がゲルマン民族の大移動のきっかけになったこと
   から始まります。世界史の教科書には、移動の原因については何も触れて
   いませんでした。
    過去の気候変動が、動物、植物に与えた影響、そして人類の活動に与え
   た影響がわかると、今、喫緊の課題となっている「地球温暖化」が、どの
   ような状況をもたらすのかを推測することができます。気候変動があって
   も、昔のように国境がなかった時代とは異なり、人類は、自由に移動する
   ことはできなくなりました。では、その代わりに何ができるのか。
    COP15の結果を考えながら、冬休みの間に、気候変動と文明に関す
   る本を、じっくりと読んでみてはいかがでしょう(注4)。
  
                        (企画広報室 吉田 浄)
  
    注1.四季の差がない地域の樹木には、はっきりした年輪ができません。
       たとえば「ラワン」などの南洋材。
    注2.国立極地研究所のホームページ(http://www.nipr.ac.jp/ )
       を参照してください。
    注3.日本では、福井県三方五湖の一つ、水月湖における「年縞」研究
       がよく知られています。
       関西電力のホームページ(http://www.kepco.co.jp/wakasa/tanpou/tanpou/13.html )
       を見てください。
    注4.この分野の本は、たくさん出版されています。たとえば、
       安田喜憲「気候変動の文明史」NTT出版
       ブライアン・フェイガン「古代文明と気候大変動」河出文庫
  
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   ※今週号が、今年最後のメールマガジンの配信になります。1年間ご愛読
    ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
    なお、来週の科学技術館メールマガジンは、休刊とさせていただきます。
    次号(1月6日発行)もお楽しみに!
  
    最後までお読みいただきありがとうございました。
    皆様のご来館をお待ちしております。
  
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  ┘ 発行者:科学技術館メールマガジン係               ┘
  ┘    〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号       ┘
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  ┘ ※ このメールマガジンの回覧・転送は自由です。内容の引用・転  ┘
  ┘  載の際には、「科学技術館 メールマガジン 第何号の***の  ┘
  ┘  記事」と注釈をいれてください。                ┘
  ┘  なお、メールマガジンで参照しているWebサイトのすべての画  ┘
  ┘  像・記事については、著作権法に定める例外を除き、著作権者の  ┘
  ┘  許可なく使用・転載することはできません。           ┘
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