科学技術館メールマガジン バックナンバー


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  ━  ◆ 科 学 技 術 館 メールマガジン ◇ 第287号 ◆  ━
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                             >>>2010/6/23発行
  
   こんにちは。科学技術館です。
  
   当メールマガジンは毎週水曜日発行です。ご愛読よろしくお願いします。
   東北地方が梅雨入りしたと思ったら、沖縄地方では梅雨明け。南から夏が
   やって来ています。傘の置き忘れにはご注意を。
  
   * このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
  
   本号の配信数 9,060人。
  
  
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   【1】科学技術館最新情報
       新着情報・・・「青少年のための科学の祭典2010全国大会」
                           一般公開日のご案内
              「コオロギ相撲 参加者募集!!」
              「FOREST七夕2010
                   ―オリジナルの笹に願いをこめて―」
              「今週のユニバース」
  
   【2】科学技術館ラボラトリー
       科学・技術よもやま話・・「舶来品の鉄橋」
       自然と友だち・・・「梅雨の頃の生きものたち」
  
   【3】科学技術館おすすめ
       科学の本の紹介・・・今月のテーマ「自然をよみがえらせる」
  
   【4】科学技術館ニュース
       お知らせ・・・「青少年のための科学の祭典2010全国大会」
                             研修会のご案内
              「7月21日(水)臨時休館」のお知らせ
       他館の紹介・・・所沢航空発祥記念館、船の科学館
  
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  【1】    ★ 科 学 技 術 館 最 新 情 報 ★
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  ◆ 新着情報
  
   ■ 「青少年のための科学の祭典2010全国大会」一般公開日のご案内 ■
  
    今年も科学技術館では、「青少年のための科学の祭典」の全国大会を開
   催します。いろいろな実験や不思議なショーを体感できます。期間中は、
   科学技術館の常設展示も無料でご覧いただくことができます。
  
    開催日時:2010年7月31日(土)〜8月1日(日)
         9時30分〜16時50分
    会  場:科学技術館1階 催事場
  
    詳細はこちらをご覧ください。
    http://www.kagakunosaiten.jp/
  
   ■ コオロギ相撲 参加者募集!! ■
  
    コオロギが相撲をするって知っていますか??
   中国では闘蟋(とうしつ)と呼ばれ、競技をするほど古くから親しまれて
   います。相撲をしている姿はカッコイイ!自分だけのコオロギを育てよう!
  
    日  時:6月26日(土)14時〜16時(受付13時30分〜)
    会  場:4階D室 イベントホール
    講  師:観音崎自然博物館 石鍋壽寛館長
    対  象:どなたでも参加できます
         ※小学2年生以下は保護者の同伴が必要です。
    参 加 費:1,200円(科学技術館への入館料は別途必要です)
         ※コオロギ・飼育箱・エサ代を含みます。これらはすべてお
          持ち帰りできます。
    参加人数:40名程度
  
    詳細はこちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2010/07/post_276.php
  
   ■ FOREST七夕2010 ―オリジナルの笹に願いをこめて― ■
  
    5階のフォレスト展示室では、短冊に願いごとを書いて笹に飾ったり、
   笹飾りをつくったりなど、七夕が楽しめるプログラムを用意しました。
    みなさんの夢や願いを短冊にこめて笹に飾りつけてみてはいかがでしょ
   うか。
  
    期 間:7月1日(木)〜7日(水)
    時 間:9時30分〜16時30分
    場 所:5階FOREST
    参加費:無料(入館料が必要になります)
  
    詳細はこちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2010/07/post_268.php
  
   ■ 今週のユニバース ■
  
    土曜午後の科学ライブショー「ユニバース」では、4階シンラドームの
   スクリーンに全天周のシミュレーション映像を投影し、地球から太陽系、
   恒星の世界、銀河の世界、そして宇宙全体のお話をお伝えします。
    今週は、アメリカ合衆国のヤーキス天文台とインターネットで繋ぎ、ラ
   イブショー中にアメリカで見えている星空の様子や天文台で撮影した天体
   写真を送ってもらう「ライブ天体観測」コーナーを予定しています。日本
   の昼過ぎにアメリカの夜空もお楽しみください。
  
    案内役:矢治 健太郎さん(立教大学)
  
    科学ライブショーの詳細や今後の出演予定者については、
    http://universe.chimons.org/jsf/ をご覧ください。
  
  
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  【2】   ★ 科 学 技 術 館 ラ ボ ラ ト リ ー ★
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  ◆ 科学・技術よもやま話
  
    ■ 舶来品の鉄橋 ■
  
    東京からは少し遠い場所ですが、砂丘で有名な鳥取から、1〜2時間に
   一本しか来ないローカル線のディーゼルカーを乗り継ぎ小一時間。列車は
   兵庫県に入り、餘部(あまるべ)という小さな無人駅に到着します。この
   駅、崖の上のようなところにあり、眼下には日本海。そして線路の先には
   眼下にある集落をまたぐように「余部橋りょう」(余部鉄橋・餘部鉄橋と
   書かれることもあるようですが)という鉄橋がそびえ立っています。
    鉄橋というと、鉄骨でできたジャングルジムのような中を通過する「ト
   ラス橋」と呼ばれる橋をイメージする方が多いのではないでしょうか。こ
   の橋・・・インターネットの画像検索で「余部鉄橋」と検索していただけ
   れば写真をご覧になれると思いますが、
   「鉄塔を橋脚にして、その上に線路を敷いてみたらこうなりました」
   ・・・そんな形をしているのです。この無骨な赤茶色の鉄橋、「トレッス
   ル橋」(Trestle=「架台」という意味)という種類の橋だそうで、
   この種の鉄橋としては建設当時、東洋一。現在でも日本一の規模を誇る鉄
   橋ということで、この附近ではちょっとした観光スポットになっています。
  
    でも、長さ310.59m、高さ41.45mのこの鉄橋。今となって
   は決して大きなものではありませんよね。確かに、見た目はなんだか映画
   の”天空の城ラピュタ”のワンシーンに出てきそうな橋で独特なカタチを
   していますが・・・。
    そこで少し調べてみたところ、なんとこの鉄橋ができたのは明治45年。
   つまり、約100年近くも前に造られ、今なお現役なのです。さらに、橋
   脚の鉄骨は、はるばるアメリカから海を越えて運ばれてきたものなのだそ
   うです。鉄橋が海を渡ってくる?・・・もちろん鉄橋の形をして海をプカ
   プカと渡ってきたわけではありませんが、舶来品の鉄橋だったとは・・・
   ちょっと意外です。
  
    さて、普通ならここで「当時の技術の粋(すい)を集めて造られたもの
   なのです。凄いですね〜」といった言葉で締めくくると美しくまとまるの
   でしょうが、ちょっと考えてみてください。確かに建設する際には多大な
   人員と技術が投じられたことでしょう。しかし、それを約一世紀にもわた
   り維持することも並大抵なことではないとは思いませんか。目の前に広が
   る日本海から吹きつける潮風による腐食との戦いや、冬の雪や季節風の中
   での作業の過酷さは想像に難くないでしょう。事実、過去には「鉄橋守」
   として鉄橋をメンテナンスする専門の係員がこの鉄橋に常駐していた時代
   もあったそうです。科学技術館の展示物保守を担当している私としては、
   むしろこの鉄橋の安全を陰で支えてきたメンテナンスの技術に感心してし
   まいます。
  
    しかしながら寄る年波には勝てず、強風に対する安全面での配慮から現
   在、隣に新しいコンクリート橋の建設が着々と進んでいます。来月7月に
   もこの鉄橋は引退し、8月には新しい橋への架け替えが決まっているそう
   です。歴史あるものが消えてしまうことは残念ですが、安全面・保守面を
   考えれば致し方ないのかもしれません。普段何気ない生活の中でも陰で安
   全を支えてくれている人がいることに感謝しなくてはいけないですね。
  
    香住観光協会
    http://www.kasumi-kanko.com/
    ("遊ぶ"のリンクより橋の全景が確認できます)
  
    香美町
    http://www.town.mikata-kami.lg.jp/
    ("観光情報"のリンクより現在の風景が確認できます)
  
    執筆者:太田浩輔 科学技術館事業部
  
    「科学・技術よもやま話」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/y_index.html
  
  ◆ 自然と友だち
  
   ■ 梅雨の頃の生きものたち ■
  
    そろそろ梅雨入りの頃・・・でも今年は季節が1週間〜10日ほど、例
   年よりずれている感じです。東京では、6月に入っても梅雨入りの気配が
   なく、中旬になってようやく梅雨入りとなりました。
    埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園に出かけてきました。6月2日には、いつ
   もなら発生しているはずのミドリシジミも、ただ1頭に出会えただけ、ミ
   ズイロオナガシジミなども全く見られませんでした。やはり虫たちの出現
   はかなり遅れていることを実感しました。
  
    「梅雨の頃の生きものたち」の写真
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/ss66/
  
    執筆者:松田邦雄 サイエンス友の会 講師
  
    「自然と友だち」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/t_index.html
  
    ハンドブック「散歩のおとも〜北の丸公園の自然」好評発売中!
    ハンドブックのお求め方法
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/otomo/otomo.htm
  
  
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  【3】    ★ 科 学 技 術 館 お す す め ★
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  ◆ 科学の本の紹介
  
    今月は、自然をよみがえらせる、あるいは、自然を守る活動を紹介して
   います。
  
   ■ 『よみがえれゲンゴロウの里』
           守ってのこそう!いのちつながる日本の自然(1) ■
     西原省吾(著)童心社
  
    身近な水辺に住んでいて、よく見かけていたゲンゴロウですが、最近は、
   見かけることが少なくなってしまいました。なぜでしょう。ため池や沼や
   水田が宅地造成などの開発により少なくなってしまったことや、農薬や排
   水の流入による水質の汚染、圃場(ほじょう)整備といって、稲作を行い
   やすいように水田をまとめ、乾きやすい田んぼにする工事が行われ、休耕
   田や放棄水田が増加するなどの理由からゲンゴロウの住む場所が少なくな
   ってきたためです。また追い打ちをかけるように、アメリカザリガニやブ
   ラックバスなどの外来種の増加、ペットブームによる乱獲などによってゲ
   ンゴロウが少なくなってしまったのです。レッドデータブックには、10
   0種類以上のゲンゴロウ類が絶滅の恐れの高い種類として選ばれているそ
   うです。
    ゲンゴロウは、水辺の環境を知る基準となる生きものとして重要であり、
   生きものを守る活動の場で見直されるようになってきているのだそうです。
   ゲンゴロウが住めるということは、他の水辺の生きものも住めるというこ
   となのです。この本では、千葉県と石川県での取り組みを紹介しています。
   地域の方々や小学生との自然観察会や環境授業などを通し、自分たちの地
   域の自然や農業に目を向け、自然保全の活動が行われているそうです。著
   者は、自分のまわりでできることから少しずつはじめてみようと呼びかけ
   ています。
  
    執筆者:金澤磨樹子 科学読物研究会
  
    この本の表紙はこちらのURLをご参照ください。
    http://kagakuyomimono.cool.ne.jp/hon/10kankyou/gengorounosato/gengorounosato.html
  
    科学読物研究会ホームページ http://kagakuyomimono.cool.ne.jp/
  
    「科学の本の紹介」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/b_index.html
  
  
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  【4】    ★ 科 学 技 術 館 ニ ュ ー ス ★
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  ◆ お知らせ
  
   ■ 「青少年のための科学の祭典2010全国大会」研修会のご案内 ■
  
    「青少年のための科学の祭典2010全国大会」研修会を、下記のよう
   に実施いたします。この研修会には、事前登録が必要です。
    なお、一般の方が来場できる「青少年のための科学の祭典2010全国
   大会」は7月31日(土)〜8月1日(日)です。
  
    開催日時:2010年7月30日(金) 9時〜17時
    会  場:科学技術館1階 催事場
    対  象:出展者および教育関係者(教職員、祭典関係者、
         理科ボランティア、教員を志望する学生など)
         ※一般の方はご入場できませんので、ご注意ください。
    登録締切:7月9日(金)
  
    研修会の事前登録についての詳細は、下記のページから
    HOME > 全国大会 > 開催案内をご覧ください。
    http://www.kagakunosaiten.jp/convention/guide.php
  
   ■ 「7月21日(水)臨時休館」のお知らせ ■
  
    7月21日(水)は、電気工事のため、科学技術館を臨時休館させてい
   ただきます。当日は館内の全施設をお休みとさせていただきます。
    大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解とご了承のほどお願い申
   し上げます。
  
  ◆ 他館の紹介
  
   ■ 所沢航空発祥記念館 ■
  
   ☆ 公開講座のお知らせ 「中島飛行機・富士重工業の名機と所沢」
  
    当館は中島飛行機・富士重工業鰍ェ生産した機体である「九一式戦闘機
   (胴体部)」「富士T−1B」「富士ベルHU−1B」を収蔵しています。
   これらの機体を中心に同社の機体開発の歴史をたどると共に設計者につい
   て紹介します。
  
    開催日時:2010年7月3日(土) 13時〜15時30分
    開催場所:1階 研修室
    定  員:60名
    対  象:年齢などの制限なし
    参 加 費:無料(ただし、入館料が必要です)
    参加方法:往復はがき、もしくはウェブでお申し込みください。
    申込締切:6月25日(金) 往復ハガキの場合、当日必着
  
    詳細は、以下のホームページをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum5/viewcat.php?cid=1&orderby=dateD
  
   ■ 船の科学館 ■
  
   ☆ 「シップ・ウォッチングin東京港」開催のお知らせ
  
    毎年ご好評をいただいております「シップ・ウォッチングin東京港」
   を、下記のとおり開催いたします。
  
    当イベントは、東京港内を航行する観光船に乗船して、荷役中の巨大コ
   ンテナ船や港で働く清掃船や消防艇、観光スポットのお台場など、東京港
   で働くいろいろな船や施設を海から探検してみようというものです。みな
   さまからの、多数のご応募をお待ちしております。
    なお下船後に、希望者を「税関ひろば」にご案内したします。(無料)
  
    開催日時:2010年7月19日(月・祝)13時30分〜15時
    開催場所:船の科学館前海上バス乗り場、東京港内
    募集定員:300名(使用船舶:東京都観光汽船「海舟」)
    参 加 費:大人1,000円、18歳以下500円
         (船の科学館入館料、乗船料、テキスト代、保険料相当を含
          む)
    参加方法:ハガキによる申込
    申込締切:7月5日(月)必着
  
    詳細は、以下のホームページをご覧ください。
    http://www.funenokagakukan.or.jp/news/?p=300
  
  
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             ★ 担 当 者 よ り ★
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   ■ 「書く」漢字から「打つ」漢字へ  〜常用漢字表の改定〜 ■
  
    新聞報道などでご承知のように、6月7日、「常用漢字表」の改定案が
   まとまりました。29年ぶりの変更です(注1)。途中で意見募集の機会
   がありましたから、地名に使う漢字を中心に喧々囂々(けんけんごうごう)
   の議論があったことを記憶している方もおられるでしょう(注2)。
    新たに加えられた漢字の数は196字、逆に削除されるのは5字。これ
   まで1,945字だったのが、2,136字と、10%ほど増えることに
   なりました。
    ところで、「そもそも漢字の数は、どのくらいあるのでしょうか?」
   1.中国で出版された「康熙字典(こうきじてん)」1716年完成。見
   出しの漢字(「親字(おやじ)」といいます)は、49,030が登載さ
   れています。
   2.日本で出版された諸橋轍次著「大漢和辞典」1960年完結。2000
   年補巻出版。親字の数は、51,109。
    およそ50,000と考えればいいでしょう。学習用の漢和辞典では、
   ちょっと大きいもので、10,000字前後を収載しているようです。
    さて、私たちがふだん使っている漢字の数は、どのくらいでしょうか。
   まあ、大雑把にいって、2,000±数百でしょうか。「常用漢字表」は、
   日本語でコミュニケーションするときに、送り手、受け手が共通にこのく
   らい知っていると意思疎通に便利だね、という「目安」を示しているもの
   だそうです。
    その数が、今回増えることになりました。一方で、「活字離れ」が深刻
   に議論されているのに、リテラシーとしての漢字の数を増やすとは、どう
   いうことでしょう。文化審議会の答申では、「情報機器による漢字使用が
   一般化し、社会生活で目にする漢字の量が確実に増えている」ので、「国
   民の言語生活の円滑化、また、漢字習得の目標の明確化に寄与する」ため
   に、漢字表の改定を行うとしています。
    その昔、日本にコンピュータが入ってきたとき、使用できる文字は「英
   字」「数字」だけでした。もともと欧米で開発されたコンピュータですか
   ら、「英字」「数字」だけで十分であり、文字を表すビット数が少なくて
   もよかったのです。その後、IBMなどコンピュータ・メーカーは、世界
   中でコンピュータを普及するには、各国の言語を表示することが必須であ
   るということで、拡張を進めてきました。日本では、「カタカナ」が導入
   され、次に「漢字」も導入されていきます。これらは、日本工業規格(J
   IS)として、標準化されています。現在、パソコンなどに搭載されてい
   るJIS漢字の数は、第1水準、第2水準合わせて6,355。子どもか
   ら、研究者、作家に至るまで、ほとんどすべての国民がコンピュータ(パ
   ソコン、携帯電話機など)を操作するようになったのですから、個々のユ
   ーザーが使う漢字群のセットをほぼすべて含むように漢字量を拡大するの
   は、メーカー側としては当然の行動です。
    コンピュータに載っている「かな漢字変換辞書」の技術進歩により、ユ
   ーザーは、「手書き」時代に使っていた漢字数を大きく超えて、コンピュ
   ータで「手打ち」しているようです。
    そういう次第で、「常用漢字数」は、10%ほど増えることになりまし
   た。問題は、「目安」の意味合いです。学習指導要領では、中学校卒業時
   に「だいたい読めること」、高等学校卒業時に「主な漢字が書けること」
   を目標においています。答申では、その辺りを考慮してか「情報機器の使
   用が一般化・日常化している現在の文字生活の実態を踏まえるならば、漢
   字表に掲げるすべての文字を手書きできる必要はなく、また、それを求め
   るものではない。」としています。こうなると「手打ち」できるかどうか
   も目標になるのでしょうか。
    追加された漢字を眺めてみると、身体、病気、感情表現に関わる漢字が
   多いように思います。たとえば身体では、「咽喉」の2字、「頭蓋骨」の
   「蓋」、「骸骨」の「骸」、「脊椎」の2字、「涙腺」の「腺」、「腎臓」
   の「腎」など。病気では、「鬱病」の「鬱」、「脳梗塞」の「梗」と「塞」、
   「潰瘍」の2字など。しかし、「癌」がないのはどうしたことでしょう。
    おやおや、と感じるのは「嵐」。アイドルグループの影響か? 「韓」
   は韓流ドラマが一役買っているのでしょうね。「崖」はポニョのおかげ?
   「酎」は明らかに「チューハイ」。「藍」はゴルフ? 「沙」が追加され
   て、挨拶の「ご無沙汰」が浮かびあがりましたが、「砂漠」は「沙漠」に
   戻るのでしょうか。石や砂が少ない「さばく」はおかしいから。「銑」は
   削除されてしまいました。製鉄での「銑鉄」は「せん鉄」?
    こうして、追加196字、削除5字を眺めていると、世相の移り変わり
   も見えてくるようで、時間の経つのを忘れてしまいそうです(注3)。
  
   注1.政府は、文化審議会の答申を受けて、「内閣告示」という形式で実
      施します。11月頃の予定といわれています。
   注2.ちなみに、この「喧々囂々」の3字は、いずれも常用漢字には含ま
      れていません。東京の三鷹市は「鷹」の字を加えるように要請した
      のですが認められず、市長は「結果を『鷹揚(おうよう)』に受け
      止める気持ちになれません。」とのウィットに富んだコメントを出
      しています。
   注3.改定「常用漢字表」については、
      http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/287/287.pdf
      を見てください。
  
                        (企画広報室 吉田 浄)
  
  
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  ┘    〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号       ┘
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