科学技術館メールマガジン バックナンバー


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  ━  ◆ 科 学 技 術 館 メールマガジン ◇ 第394号 ◆  ━
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                             >>>2012/8/29発行
  
   こんにちは。科学技術館です。
  
   当メールマガジンは毎週水曜日発行です。ご愛読よろしくお願いします。
   今週末からいよいよ9月です。
   夏休み、なにかし忘れたことは、し○○○○以外になかったかな??
  
   * このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
  
   本号の配信数 10,166人。
  
  
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   【1】科学技術館最新情報
       新着情報・・・「第3回国際科学映像祭 〜科学でつながる〜」
                               理研DAY
              今週のユニバース
  
   【2】科学技術館ラボラトリー
       科学・技術よもやま話・・・「宇宙検疫」
       自然と友だち・・・「猛暑・夏の生きものたち」
  
   【3】科学技術館おすすめ
       科学の本の紹介・・・今月のテーマ「インフルエンザ」
  
   【4】科学技術館ニュース
       お知らせ・・・「サイエンスフィルムカフェ&
                   ワークショップ2012」参加者募集
              第3回国際科学映像祭スタンプラリー
       他館の紹介・・・所沢航空発祥記念館、船の科学館
  
    8月は休まず開館いたします。
    9月の休館日は5日(水)、12日(水)、19日(水)、26日(水)です。
  
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  【1】    ★ 科 学 技 術 館 最 新 情 報 ★
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  ◆ 新着情報
  
   ■ 「第3回国際科学映像祭 〜科学でつながる〜」理研DAY ■
  
    当館は、「第3回国際科学映像祭 〜科学でつながる〜」(〜9月30
   日(日)まで)に協力しています。
    9月16日(日)には「理研DAY」と題し、理化学研究所が行ってい
   る研究を紹介する映像「元素の起源を探る 〜理研RIビームファクトリ
   ー〜」について、研究者によるサイエンストークと映像作品の上映を行い
   ます。
    「10倍楽しむ『元素の起源を探る 〜理研RIビームファクトリー〜』」
   として、制作裏話とポイントを聞いた後に、3D映像をお楽しみください。
  
    開催日時:9月16日(日)14時〜、15時30分〜
         ※各回30分、同じ内容です
    場  所:科学技術館4階B室「シンラドーム」
    参加費用:無料(科学技術館の入館料は必要です)
    定  員:各回62名(当日先着順)
    内  容:研究者によるサイエンストーク)渡邊 康
         (理化学研究所 仁科加速器研究センター
                     延與放射線研究室 専任研究員)
         進行)川井 和彦(理化学研究所 広報室)
    上映作品:科学のフロンティアシリーズ16
         「元素の起源を探る 〜理研RIビームファクトリー〜」
         (約14分)
  
    詳細はこちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2012/09/post_546.php
  
   ■ 今週のユニバース ■
  
    土曜午後の科学ライブショー「ユニバース」では、4階シンラドームの
   スクリーンに全天周のシミュレーション映像を投影し、地球から太陽系、
   恒星の世界、銀河の世界、そして宇宙全体のお話をお伝えします。
    「ゲストコーナー」は、「新月の夜の物語‐ウナギの産卵生態‐」とし
   てお話いただく予定です。
  
    案内役:伊藤 哲也さん(国立天文台)
    ゲスト:青山 潤さん (東京大学大気海洋研究所)
  
    科学ライブショーの詳細や今後の出演予定者については、
    http://universe.chimons.org/jsf/ をご覧ください。
  
  
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  【2】   ★ 科 学 技 術 館 ラ ボ ラ ト リ ー ★
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  ◆ 科学・技術よもやま話
  
   ■ 宇宙検疫 ■
  
    8月5日、米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「キュリオシティ」
   が火星への着陸に成功しました。「キュリオシティ」の目的はズバリ、生
   物探し。土壌や岩石を調べて、生物の痕跡といえるアミノ酸などの存在を
   解析したりして、生物が存在するか、あるいはしていたかを調べることに
   なっています。一方で、もし火星に生物が存在したら、私たちはどのよう
   に対応すべきなのでしょうか。単純に「他の星にも生物がいた!」とは喜
   べないのです。仮に火星に生物がいた場合、火星生物を地球に安易に持ち
   帰ると、地球で火星生物が繁殖する可能性があります。さらには地球の生
   物に対し火星由来の生物が病原生物となり、地球の生物の脅威となる可能
   性すらあります。実は非常に行き来が、そしてモノの持ち込み、持ち出し
   がやりづらくなるのです。そこで今回はこのような事態がおこらないよう
   にするための方策、「宇宙検疫」のお話です。
  
    「検疫」とは、ある特性の施設や国で出入りする人や動植物、食品など
   のモノについて一定期間隔離し、害虫や病原菌などが入らないように、あ
   るいは出ていかないようにすることです。そして「宇宙検疫」とはこれと
   同じように、地球と地球以外の星との間で、生物をコントロールなしに入
   れない、入れさせない仕組みのことです。
    「宇宙検疫」の必要性については、実は古くから指摘されています。
    有人月探査計画のアポロ計画に先行して、1967年、無人月探査機サ
   ーベイヤー3号が月に着陸し、月面の様子や月面の物質の性状について探
   査を行いました。そしてその2年後、1969年にアポロ12号が月面に
   着陸して、月の砂の採取や実験などを行いました。その中で、前述のサー
   ベイヤー3号からカメラを回収するミッションがあり、カメラを地球に持
   ち帰りました。持ち帰ったカメラは、月に2年間置かれたことによりどの
   ようなダメージを受けたかなどが調べられました。その時、カメラからな
   んと微生物が、しかも生きている状態で見つかったのです。当時は、「月
   の生物見つかる」とマスコミで騒がれました。この微生物、実はサーベイ
   ヤー3号に乗って月に行った地球由来の連鎖球菌だったのですが、地球由
   来の微生物が、大気のない月の環境で2年も生きていたという事実に驚か
   されます。それと同時に、もしサーベイヤー3号が着陸した地点に水など
   があり微生物が繁殖できる環境だったら、月はもしかすると、地球由来の
   連鎖球菌が住む世界になっていたかもしれないということになります。幸
   いなのかどうかわかりませんが、現実には、月は生物が生きていくにはあ
   まりに過酷なため、連鎖球菌は、生存はできても繁殖するまでにはいたり
   ませんでした。しかし、これが例えば火星だったら、火星の生物探しの前
   に、火星で地球由来の生物が繁殖してしまうという事態におちいる可能性
   もあるのです。地球から他の星に行く時も実は十分注意が必要なのです。
    一方、地球に他の星からサンプルを持ち帰る場合、こちらのほうが、他
   の星に地球由来の生物を持ち込む以上に注意が必要となります。
    すでにアポロ計画において、月の岩石などのサンプルが地球に持ち帰ら
   れているのは皆さんご存知の通りです。アポロ計画の場合、月に存在して
   いるかもしれない未知の生物を地球に持ち込まないために、月のサンプル
   は安全が確認されるまで、真空中、あるいは窒素に満たされた装置中で、
   解析が行われたそうです。また、生物がいないと確認した後も、サンプル
   をラットなどに食べさせて、地球上の生物に該当しない未知の生物がいて、
   それが地球上の生物に影響がないかを確認したそうです。これは幸いとい
   うべきでしょうが、結局生物は見つからず、地球が月由来の生物に汚染さ
   れることはありませんでした。ちなみに一昨年「はやぶさ」が持ち帰った
   小惑星イトカワのサンプルも、イトカワ由来の未知の生物がいるとしたら
   という前提で、地球上に未知の生物が漏れ出ないように現状に取り扱われ
   たことは言うまでもありません。とはいっても油断はできません。「火星
   に生物がいたら・・・」なんていうと、すぐにタコの形をした高度な知的
   生物、宇宙人とのファーストコンタクトもののSFが浮かびますが、知的
   生物ばかりが地球外生物ではありません。地球上でも、生物として圧倒的
   に多いのは細菌などの微生物です。地球上で知的生物として人間がいると
   いってもわずか70億人です。これは、微生物と比べればはるかに少ない
   数です。例えばですが、1人の人間の腸内細菌の数だけでも100兆いる
   と言われているのです。目に見えていないだけで、実は地球のいたるとこ
   ろに細菌等の微生物が溢れて、しかも細菌は人が到底住めないような深海
   や火山ガスが噴出し酸素のほとんどないような地域でも微生物が生存して
   います。一方、火星。地球よりも大気が薄く寒暖の差も激しいですが、火
   星には水があることはほぼ確実のようですので、地球型生物が誕生するた
   めの大きな条件が月よりもはるかに整っています。人間のような文明を持
   つ知的生物がいるかどうかはわかりませんが、細菌レベルの微生物があふ
   れかえっている可能性は充分にあります。現在火星探査を行っている「キ
   ュリオシティ」は火星の岩石などのサンプルを持ち帰ることは行いません。
   しかし、将来的にサンプルを持ち帰るためには、月よりもはるかに生物が
   いる可能性が高いので、月からサンプルを持ち帰った時以上の厳重な持ち
   込むためのルール、「宇宙検疫」が必要となります。
    将来的には他の星から持ち帰った岩石等のサンプルは、地球上にいきな
   り持ち込むのではなく、例えば地球の軌道上に検疫用のステーションを設
   け、ここで生物の存在の有無などを調べることになるでしょう。さらに、
   もし地球外由来の生物が見つかったとしたら、その生物を地上にもってく
   るかどうか、これは地球上で地球外由来の生物が繁殖するリスクを考えて
   どうするのか、まさしくこれからの検討課題です。またそれと同時に、他
   の星の探査についても、地球由来生物の繁殖に対する注意をどうするか、
   これもまた、他の星の探査が本格化する中で、探査機の無菌化をどこまで
   実施するかなど、ルール作りが必要となります。地球が地球外生物に汚染
   される、地球外の星の探査の結果、その星が地球由来の生物に汚染される
   のを防がないと、大きな災厄を生む可能性があります。
    外来生物の検疫の話と同じですが、地球由来生物と地球外由来生物につ
   いて、「持ち出さない」「持ち込まない」ルールとしての「宇宙検疫」を
   これからしっかり作り、実行する必要があります。宇宙開発が進めるとい
   うことは、「宇宙検疫」のような課題もまたクリアーしていかなければな
   らないのです。
  
    執筆者:田代英俊 企画広報室
  
    「科学・技術よもやま話」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/y_index.html
  
  ◆ 自然と友だち
  
   ■ 猛暑・夏の生きものたち ■
  
    連日の猛暑、さすがに虫たちも日なたを避け、木かげに避難するチョウ
   やトンボの姿も見られました。夏の虫、トンボ、セミ、カブトムシの生き
   る姿をはじめ、草木の花の様子もとらえました。
  
    「猛暑・夏の生きものたち」の写真
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/ss99
  
    執筆者:松田邦雄 サイエンス友の会 講師
  
    「自然と友だち」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/t_index.html
  
    ハンドブック「散歩のおとも〜北の丸公園の自然〜」好評発売中!
    郵送をご希望の方は、こちらから
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/otomo/otomo.htm
  
  
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  【3】    ★ 科 学 技 術 館 お す す め ★
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  ◆ 科学の本の紹介
  
    ちょっと季節はずれかもしれませんが、今月のテーマは「インフルエン
   ザ」です。
  
   ■ 『よーするに医学絵本 からだアイらんど インフルエンザ編』 ■
     きむらゆういち 川田秀文=作 中地智=絵 横山泉=監修
     講談社 2010.4     1,800円+税
  
    人の体を「からだアイらんど」というひとつの島国にたとえて、ウイル
   スパイ(ウイルス)の侵入を受けた時の、島の人たちの対抗の方法という
   形で、人体の防御システムが描かれています。ウイルスや細胞がすべて擬
   人化されているので、「戦っている」という感じがとてもよく出ています。
   それでいて内容はとても深く、例えば、発熱やせきなどの症状が起こる理
   由や、かぜ薬や水枕の効果なども、擬人化されたキャラクターの力を借り
   て、医学的にきちんと説明しています。本編で人体の防御システムの全体
   像を押さえた後で、巻末の、ページごとのさらに詳しい解説を読むと、専
   門用語にも引っかからずに、スラスラと理解できると思います。薬は体を
   楽にするためのもので、タミフルもウイルスの増殖を少し遅らせるだけの
   ものに過ぎず、実は自分たちの免疫力で戦っているのだということがよく
   わかります。
    今、熱が出ていて苦しいという人もこの絵本を読むと、「自分の体は今、
   こんなに戦ってくれているんだ。」と思えて、一緒に頑張ろうという気持
   ちになること間違いなしです。小学校高学年から。
  
    執筆者:山森貴子 科学読物研究会
  
    この本の表紙はこちらのURLをご参照ください。
    http://www.kagakuyomimono.com/hon/9karada/karadaisland/karadaisland.html
  
    科学読物研究会ホームページ http://www.kagakuyomimono.com/
  
    「科学の本の紹介」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/b_index.html
  
  
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  【4】    ★ 科 学 技 術 館 ニ ュ ー ス ★
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  ◆ お知らせ
  
   ■「サイエンスフィルムカフェ&ワークショップ2012」参加者募集
                   (8月31日(金)17時締切) ■
  
    当館は、「第3回国際科学映像祭 〜科学でつながる〜」(〜9月30
   日(日)まで)に協力しています。
    9月15日(土)〜16日(日)には、「サイエンスフィルムカフェ&
   ワークショップ2012」と題し、科学技術映像祭入選作品の上映会、ワ
   ークショップとトークショーを行います。奮ってご応募ください。
  
    実施期間:9月15日(土)〜16日(日)
    場  所:科学技術館4階I室「実験スタジアム」スタジアムR
    参加費用:無料(科学技術館の入館料は必要です)
    申込方法:参加プログラム名ごとに、参加者氏名(2名まで)、年齢、
         Eメールアドレスを明記のうえ、電子メールにてお送りくだ
         さい。
    申込・問合せ:科学技術映像祭 E-mailfilmfest@jsf.or.jpまで
    申込締切:8月31日(金)17時
         (お申し込み多数の場合は抽選のうえ、返信にて参加通知を
         送付します。)
  
    詳細は、科学技術映像祭ホームページ
    http://ppd.jsf.or.jp/filmfest/ をご覧ください。
  
   ■ 第3回国際科学映像祭スタンプラリー ■
  
    当館は、「第3回国際科学映像祭 〜科学でつながる〜」の会期中、4
   階B室シンラドームを中心にスタンプラリーの参加会場となっています。
   スタンプラリー参加施設のスタンプを3館以上押して応募すると、抽選で
   豪華な記念品が当たります。
    科学技術館内の様々な映像コンテンツをお楽しみください。
  
    開催期間:9月30日(日)まで
         ※ただし、9月5日(水)、12日(水)、19日(水)、
          26日(水)は休館日です。
    開催場所:4階B室「シンラドーム」他
    参 加 費:無料(入館料は必要です)
    参加方法:シンラドームの科学ライブショー「ユニバース」(土曜日の
         み)やドーム投影番組(日〜金曜日)、または館内各展示室
         の映像コンテンツをご覧になった方は、シンラドーム入口に
         ある科学技術館のスタンプを所定の台紙に押してください。
         台紙も同じ場所にご用意しております。
  
    詳細は、こちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2012/08/post_538.php
    http://image.sci-fest.net/ja/stamp.html
  
  ◆ 他館の紹介
  
   ■ 所沢航空発祥記念館 ■
  
   ☆紙飛行機工作教室のお知らせ
  
    記念館オリジナルの紙飛行機「スカイカブV」(鶴丸ロゴ)を製作しま
   す。ぜひご参加ください。
  
    開催日時:9月8日(土)13時〜(製作時間 約1時間)
    受付開始:12時30分より
    開催場所:1階研修室
    募集人数:40名(当日受付)
    教 材 費:350円
  
    詳細は、こちらをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum0/viewcat.php?cid=1
  
   ☆第53回科学技術映像祭入選作品上映会のお知らせ
  
    優れた科学技術に関する映像を選奨し、科学技術の普及と向上を図るこ
   とを目的とする科学技術映像祭の第53回入選作品を特別に上映します。
  
    開催日時:9月15日(土)〜23日(日)
    上映時間:11時30分〜
    実施場所:大型映像館
    料  金:無料(定員200名先着順)
  
    詳細は、こちらをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum3/viewcat.php?cid=1#50
  
   ■ 船の科学館 ■
  
   ☆カヌー操船体験教室のお知らせ
  
    船の科学館体験教室プールにて、1〜2人乗りカヌーの操船体験を実施
   します。
  
    開催日:9月9日(日)
    時 間:13時〜、13時30分〜、14時〜、14時30分〜
    受 付:各回共通12時30分〜
    場 所:船の科学館体験教室プール
    定 員:各回16名(先着順)
        カヌーの種類(10艇)
         1人乗り 4艇
         2人乗り 3艇
         2人乗り 3艇(幼児用補助席有り)
    費 用:無料
       *荒天などにより中止となることがあります。
        水に濡れてもよい服装でお越しください。また、落水などに備
        えて、着替えをご持参ください。
  
    詳細はこちらをご覧ください。
    http://www.funenokagakukan.or.jp/news/?p=906
  
  
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             ★ 担 当 者 よ り ★
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   ■ 「キョウギ」と聴いて何と書く? ■
  
    日本語には「同音異義語」がたくさんあります。みなさん、よく知って
   いるように、大昔の日本語には文字がありませんでした。5世紀から6世
   紀にかけて、中国語を表示する文字、漢字を輸入して、日本語の文字とし
   て使い始めます。「万葉仮名」は、漢字の音(おん)だけを利用したもの
   でした。そのうちに音に違いがなくても意味を区別できるさまざまな表記
   の組合せが多数日本語に登場してきます。とくに「漢語」と呼ばれる漢字
   の熟語での同音異義語の数は厖大(ぼうだい)ですから、覚えるにも使う
   にも苦労が絶えませんね。ワープロ・パソコン時代になって、笑える・笑
   えない「変換ミス」が頻出するようになりました(注1)。
    さて、本題に戻ると、「キョウギ」と聴いて、思い浮かぶのはオリンピ
   ックなどの「競技」、領土問題の「協議」、広義に対する「狭義」、宗教
   の「教義」あたりまでは、あまり考えることなく出てくるでしょうが、さ
   て、「経木」はいかがでしょうか。
    この頃は、お店の店頭で、経木を包装材として使っているところが、ほ
   とんどなくなりましたから、経木を知ってる・知らないで、世代の差を表
   示するモノサシになるのかもしれません。
    前回の「森林」(390号)に続いて、筆者が「木」を取り上げたのは、
   とくに関連があるわけではなくて、最近、頂戴した「和菓子」を包んでい
   たのが、この経木であったことからです(注2)。
    改めて考えてみると、どうして包装に使うものを「経木」というのでし
   ょうか?
    もともとは、「経文(きょうもん)を記した木」。仏教伝来の時(53
   8年、552年)、日本には「紙」がありませんでしたし、中国でも紙は
   貴重だったのでしょう。仏教の経典は、厚めの木の板に記されていました。
   「木簡(もっかん)」です(注3)。今から1400年以上前のことです。
   この厚めの木の板は、情報を記録する媒体「木簡」のほか、屋根を葺く
   (ふく)「柿(こけら)」、弁当やお菓子の「折箱」などとしても使われ
   てきました。
    一方、食べ物を、直接、包装するには、木の葉が使われていたようです。
   柏の葉、朴(ほお)の葉、柿の葉、笹の葉…などは、今でも、駅弁や地方
   の名産品で見ることができます。また、竹の皮も広く使われていました。
   江戸中期からは、マダケの皮が広く使われるようになり、お菓子、お寿司、
   佃煮、漬物、味噌、鮮魚など、あらゆるものを包むようになり、竹皮問屋
   が大いに繁盛したのだそうです。
    ところが、1851年(嘉永4年…「黒船来航」の2年前)、関東一円
   で、マダケが一斉に花を咲かせて枯れてしまう「異変」が起こります。竹
   皮が市場で払底(ふってい)するという事態に。そこで、竹皮の代替品と
   して経木を使うことを思いついたのが、武蔵(634…東京スカイツリー
   の高さ)国は月輪に住む、宮嶋勘左衛門さん。この智慧者は、厚板の経木
   ではなく、松材を鉋(かんな)でごく薄く削った薄手の経木を、竹皮の代
   用品にすることを思いつきました。「必要は発明の母」でしょうか、それ
   とも「Serendipity」でしょうか。
    厚い経木が薄い経木になって、包装用に使われることになったのは、今
   から(わずか)160年ほど前のことだったのです。この後、経木は竹皮
   に代わって、商品包装の主流になるのですが、120年ほどでこの地位か
   ら滑り落ちることになります。1960年代、スーパーマーケットが登場
   し、「流通革命」が起こり、食品を店頭で量り売りする「対面包装」から、
   コンテナ・パレット輸送に便利な「事前包装」に切り替わった時、「プラ
   スチック・トレイ」にその座を譲ります(注4)。
    経木や竹皮には、薄くて柔らかく包みやすいという「特長」だけではな
   く、食品を包むことについて、科学的に有用性が認められています。吸湿
   性があること、保湿性があること、抗菌性・殺菌性があることです(注5)。
   直ぐにおわかりのように、ビニールを引いた紙の包装紙、あるいはプラス
   チック・パッケージとは真逆の発想です。一方は通気性を利用する「自然
   との調和」に対して、他方は外気を遮断する「自然との対決」をねらって
   います。デパ地下で売られている弁当でも、比較的値段の張るものに経木
   の折箱が使われているのは、高級感だけではなく、そういう理由があるの
   でしょう。
  
                       (企画広報室 吉田 浄)
  
   注1.漢字が表意文字であることから、文字を読めば意味の違いは明らか
      であることが、同音異義語の多さに影響しています。一方、英語の
      アルファベットは「表音文字」ですから、漢語ほどの問題はないよ
      うです。ですが、少し前に、バットマンの映画「ダークナイト」を、
      最初に耳にしたとき、「dark night=暗い夜」? あっ
      たりまえ!… 実は「dark knight」だったのでした。
   注2.いただいた和菓子は直ぐに食べてしまい、経木はゴミ箱に入れられ
      てしまいました。そこで、別途、入手した経木で、実例を示します。
      ごく薄い木の板で、大工さんが木材を削ったときにできる「鉋屑
      (かんなくず)」や、家庭で鰹節(かつおぶし)を削ってつくる
      「削り節」に似ています。名人の大工さんは、10ミクロンオーダ
      ー(10μm)の鉋屑を作るほど、きれいに表面仕上げをしていた
      ようですが、最近の大工さんは「台鉋(だいがんな)」よりも「電
      動カンナ」を使うことが多く、その場合はチップになってしまいま
      す。「鰹節削り」を持っている家庭も少なくなりました。「真空パ
      ック」が全盛です。
      経木、竹の皮で包んだ「おにぎり」の写真はこちら
      http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/394/394.pdf
   注3.紙という壊れやすい媒体でなく木簡に記録されていたから、現在ま
      で情報が残っているともいえます。最近、新聞で大きく報道された
      のが、九州・太宰府市にある国分松本遺跡から出土した木簡です。
      大宝律令(701年)以前の飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょ
      う)に基づく戸籍・計帳に関係する資料だということです。木の板
      に墨で書かれたこの木簡は、685年から701年の間に作成され
      たと推定されていて、およそ1300年の時を経て、旧河川の堆積
      層から発掘されました。詳しくは、太宰府市教育委員会のホームペ
      ージ、
      http://www.city.dazaifu.lg.jp/data/open/cnt/3/6248/1/kunimatu13gensetusiryou.pdf
      を見てください。
   注4.林周二著「流通革命」中公新書を参照してください。なお、
      http://www.nittsu-soken.co.jp/report/thesis/file/02_06_yoshimura.pdf
      をご覧ください。
   注5.フィトンチッド。http://www.phyton-cide.org/info.wisdom.html#
      を見てください。
  
  
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