科学技術館メールマガジン バックナンバー


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  ━  ◆ 科 学 技 術 館 メールマガジン ◇ 第422号 ◆  ━
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                             >>>2013/3/19発行
  
   こんにちは。科学技術館です。
  
   当メールマガジンは毎週水曜日発行です。ご愛読よろしくお願いします。
   明日の水曜日は祝日のため、メールマガジンは本日発行です。今年のサク
   ラの開花は平年より早いところが多いようです。北の丸公園でもサクラの
   季節と共に、卒業式や入学式のシーズンを迎えました。当館へご来館の方
   は、公共交通機関をご利用いただきますようお願いいたします。
  
   * このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
  
   本号の配信数 10,344人。
  
  
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   【1】科学技術館最新情報
       新着情報・・・春休み特別イベント
              「スプリング・サイエンスカーニバル2013」
              今週のユニバース
  
   【2】科学技術館ラボラトリー
       科学・技術よもやま話・・・「磁石の磁力に“魅かれて”」
       自然と友だち・・・「啓蟄の頃 春のめざめ」
  
   【3】科学技術館おすすめ
       科学の本の紹介・・・今月のテーマ「動物園・水族館に行こう」
  
   【4】科学技術館ニュース
       お知らせ・・・「青少年のための科学の祭典2013全国大会」
                           出展者募集のご案内
              第56回
                 全国学芸サイエンスコンクール作品展示会
              放射線教育支援サイト「らでぃ」
       他館の紹介・・・所沢航空発祥記念館
       イベント情報・・・第16回ロボットグランプリ 開催
  
    ☆春休み(3月20日〜4月6日)は休まず開館します。
     4月の休館日は、10日(水)、24日(水)です。
  
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  【1】    ★ 科 学 技 術 館 最 新 情 報 ★
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  ◆ 新着情報
  
   ■ 春休み特別イベント「スプリング・サイエンスカーニバル2013」 ■
  
    当館では春休み期間中に、特別イベント「スプリング・サイエンスカー
   ニバル2013」を開催します。通常の実験ショー・工作教室に加え、毎
   日多数の催しを実施して皆様のご来館をお待ちしております。
  
    期間:3月20日(水・祝)〜4月7日(日)
    内容:1.春休み特別展「マグネット展」
       2.ワクエコ・カーモデラー教室(事前申込制・締切済み)
       3.幼児向けサイエンスプログラム
       4.味覚教室特別編「うま味の相乗効果を体験しよう!」
       5.館内特別ガイドツアー
       6.工作教室「紙ブーメランを作ろう」
       7.第56回全国学芸サイエンスコンクール作品展示会
       8.ワクエコ工作教室「君だけのクルマ消しゴムをつくろう!」
       9.実験工作教室「かんたんLEDライトを作ろう!」
       10.マグネット展特別ワークショップ
       11.科学戦隊「実験ジャー」ショー
  
    実施日や開催時間など詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2013/04/post_622.php
  
   ■ 今週のユニバース ■
  
    土曜午後の科学ライブショー「ユニバース」では、4階シンラドームの
   スクリーンに全天周のシミュレーション映像を投影し、地球から太陽系、
   恒星の世界、銀河の世界、そして宇宙全体のお話をお伝えします。
    また、アメリカ合衆国のヤーキス天文台とインターネットで繋ぎ、アメ
   リカで見えている星空の様子や天文台で撮影した天体写真を送ってもらう
   「ライブ天体観測」コーナーを予定しています。日本の昼過ぎにアメリカ
   の夜空もお楽しみください。
  
    日 時:3月16日(土)14時〜、15時30分〜(各回40分)
    会 場:4階B室「シンラドーム」
    定 員:各回62名(当日先着順)
    案内役:伊藤哲也さん(国立天文台)
  
    詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/exhibit/floor/4/4b/#entry-1707
  
  
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  【2】   ★ 科 学 技 術 館 ラ ボ ラ ト リ ー ★
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  ◆ 科学・技術よもやま話
  
   ■ 磁石の磁力に“魅かれて” ■
  
    磁石は、とても身近にあるものですが、意外と詳しいことは知られてい
   ないのではないでしょうか。
    例えば、磁石って何でできているのでしょうか?
    磁石にはいくつか種類がありますが、主なものとしてフェライト磁石、
   アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)、ネオジム磁石
   があげられます。それぞれ原料が異なりますが、基本的には強い磁性を持
   つ強磁性体が含まれています。鉄、ニッケル、コバルトなどが強磁性体に
   あたります。
    フェライト磁石の主成分は酸化鉄で85%も占めています。アルニコ磁
   石は、アルミニウム、ニッケル、コバルトと主な原料から名づけられてい
   ますので、名前からも2つの強磁性体を使っていることがわかりますが、
   実は一番多いのは鉄で約50%を占めています。サマコバ磁石は、その名
   の通りコバルトが約50%含まれています。そして、ネオジム磁石は、ネ
   オジムとついていますが主原料は鉄で約65%となっています。
    ネオジム磁石は4種の磁石の中で最も磁力が強い磁石で、小さくても強
   い磁力をもつので、ハードディスクの磁気ヘッドアームの動作や携帯電話
   のマナーモード用の小型モーターなどに使われています。ネオジム磁石は、
   他の磁石に代わっていろいろな分野で活用されるようになってきています。
    それではこの先、すべてネオジム磁石に変わっていくかというと、そう
   いうわけにはいきません。ネオジム磁石にも高温に弱いという欠点があり
   ます。どの磁石も高温になると磁力が弱まり、ある温度を超えると完全に
   消えてしまいます。そのときの温度を「キュリー温度」といいますが、そ
   の温度はフェライトが460℃、サマコバが700〜800℃、アルニコ
   が850℃となっており、ネオジムは310℃と一番低いのです。さらに、
   通常のネオジム磁石は90℃を超えると磁力がとても弱まり磁石として使
   えなくなってしまいます。そこで高温環境では、ネオジムの次に磁力の強
   いサマコバ磁石が使われたりします。しかし、そのサマコバ磁石も割れや
   すいという欠点があり、またアルニコ磁石も割れにくいが製造に手間がか
   かる、フェライト磁石も製造しやすいが割れやすいといったように、それ
   ぞれの磁石に長所短所があるのです。そこで、磁石は使う環境や条件に適
   したものが選ばれるのです。
    このように、磁石はとても奥深いものです。そんな奥深さを実感できる
   「マグネット展」が明日3月20日(水・祝)より科学技術館ではじまり
   ます。また、3月29日(金)からは、磁石について深く探究する展示も
   加わる予定です。ぜひ「マグネット展」を体験して、磁石の磁力に“魅か
   れて”みてください。
  
    執筆者:中村隆 科学技術館事業部
  
    「科学・技術よもやま話」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/y_index.html
  
   ■ 啓蟄の頃 春のめざめ ■
  
    例年になく、きびしい冬も弥生3月の声を聞くと、早春の木々の花、野
   の花、そして啓蟄、虫たちやカエルたちの目覚め・・・待ちに待った春の
   訪れに心おどるこの頃です。
    ぜひ野外へ出て小さな春を見つけましょう。
    信州・辰野の加納巌さんからも早春の辰野便りが届きました。あわせて
   ご覧ください。
  
    「啓蟄の頃 春のめざめ」の写真
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/ss106
  
    執筆者:松田邦雄 サイエンス友の会 講師
  
    「自然と友だち」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/t_index.html
  
    ハンドブック「散歩のおとも〜北の丸公園の自然〜」好評発売中!
    郵送をご希望の方は、こちらから
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/otomo/otomo.htm
  
  
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  【3】    ★ 科 学 技 術 館 お す す め ★
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  ◆ 科学の本の紹介
  
    今月のテーマは「動物園・水族館に行こう」です。今回紹介する本は、
   東日本大震災から見事に立ち直った水族館についてのドキュメンタリーで
   す。
  
   ■ 『がんぱっぺ!アクアマリンふくしま』
                ―東日本大震災から立ちなおった水族館 ■
     中村庸夫 著/フレーベル館/2012.2/1,200円+税
  
    「アクアマリンふくしま」は、いわき市の海の近くに2000年に開園
   した水族館です。すぐそばの海は、親潮と黒潮の出会う場所です。冷たい
   海の生きものから、あたたかい海にすむ生きものまで、20万点もの生き
   ものが飼育展示されていました。
    あの東日本大震災の日、いわき市では多くの被害者が出ました。この水
   族館にも震度6の地震と津波が襲いました。幸いお客さんも職員たちも無
   事でしたが、多くの生きものや付属の施設、設備を含め致命的な被害が出
   たのです。この本は再オープンするまでのドキュメンタリーです。
    電気設備室が水に浸(つ)かり、水槽が割れ、水が揺れこぼれ、多くの
   魚も津波でさらわれていました。自然の状態と違い、水族館では電力で水
   槽の水のろ過、最適な温度のための加温、酸素を入れないと水の中の生き
   ものは生きていけない―電力は水族館の命綱なのです。懸命に修理しなが
   らも、非常用発電機の燃料も不足していきます。あずかった生きものの命
   を守るはずの水族館で、職員たちの必死の努力にもかかわらず次々と死ん
   でいく…。その中で、多くの水族館が、海獣などの避難や支援に動きます。
    そして、再開に向けて設備や施設の修理は多方面からの協力やボランテ
   ィアで進み、海獣も戻り、新たな命の誕生も。多くの地元の人々の再開へ
   の期待が復興に勢いをつけました。再オープン時、目標の1/10の数の
   生きものでしたが、水族館は開園して完了ではなく、育っていくのには年
   月が必要です。また一からの出直しです。
    水族館の使命や役割と連携、職員の努力や思いなどずっしりと伝えてい
   ます。海洋写真家の著者ならではの応援メッセージです。
  
    この本の表紙はこちらのURLをご参照ください。
    http://www.kagakuyomimono.com/hon/13shakai/ganbappe/ganbappe.html
  
    執筆者:増本 裕江 科学読物研究会
  
    科学読物研究会ホームページ http://www.kagakuyomimono.com/
  
    「科学の本の紹介」のバックナンバー
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/b_index.html
  
  
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  【4】    ★ 科 学 技 術 館 ニ ュ ー ス ★
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  ◆ お知らせ
  
   ■ 「青少年のための科学の祭典2013全国大会」
                     出展者募集(3/25必着) ■
  
    平成25年度の全国大会出展者の募集のお知らせを掲載しました。
   出展を希望される方は「青少年のための科学の祭典2013全国大会」
   出展者募集についてのページをご覧ください。
  
    出展1次調査票提出期限:3月25日(月)(必着)
  
   「青少年のための科学の祭典2013全国大会」
    開催期間:2013年7月26日(金)〜7月28日(日)を予定
         ※7月26日(金)は、教育関係者対象の研修会を予定しま
          すが、公的な助成が得られた場合のみ実施となります。
         ※7月27日(土)〜7月28日(日)は、一般来場者向け
          の開催です。
    開催時間:9時30分〜16時30分
    会  場:科学技術館
  
    応募方法など詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://www.kagakunosaiten.jp/
  
   ■ 第56回全国学芸サイエンスコンクール作品展示会 ■
  
    全国の小学生・中学生・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、
   青少年の個性の育成を目的に実施している全国学芸サイエンスコンクール
   の入賞作品を展示いたします。
  
    日  時:3月26日(火)〜4月8日(月)
    会  場:2階G棟サイエンスギャラリー
    料  金:無料(ただし、入館料は必要です)
    主  催:株式会社 旺文社
    後  援:内閣府、文部科学省、環境省
  
    詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
    http://www.jsf.or.jp/info/2013/03/post_618.php
  
   ■ 放射線教育支援サイト「らでぃ」 ■
  
    「放射線」は中学校理科の学習指導要領に登場しましたが、小、中、高
   などの教育の場で、「放射線」についてどうやって授業に取り入れたらい
   いか、どんな教材を使えば効果的か悩んでいらっしゃる先生も多いのでは
   ないでしょうか?
    そこで、放射線教育支援サイト「らでぃ」では、「放射線」に関する教
   育を支援するために、今まで「知りたかった」「知らなかった」放射線の
   ことを、以下の充実したコンテンツで紹介しています。
    放射線教育のことなら「らでぃ」にお任せください!
  
    【実践事例】放射線授業や教員向け研修会等を紹介
    【指導案集】実際に教員が作成し、使われた指導案を紹介
    【資 料 集】授業で使える資料や写真等の素材を掲載
    【取 材 記】放射線利用の現場を取材した記事を掲載
    【コ ラ ム】放射線と教育をテーマに専門家の先生による読み物を掲載
    【Q & A】子どもたちや学校の先生から実際に受けた質問に回答
     等
  
    問合せ先:(公財)日本科学技術振興財団 情報システム開発部
          電話03−3212−8504
          (月〜金曜日の9時30分〜12時、13時〜17時)
  
    詳しくは、「らでぃ」ホームページをご覧ください。
    http://www.radi-edu.jp/
  
  ◆ 他館の紹介
  
   ■ 所沢航空発祥記念館 ■
  
   ☆「日本の航空技術100年展」の期間延長と「零戦解体見学会」
    延期のお知らせ
  
    地元所沢市と多くの零戦ファンからの展示延長の強いご要望を受け、零
   戦所有者と零戦展示延長に関する交渉の結果、当初、零戦の展示は本年3
   月末で終了となっていましたが、本年8月末まで延長展示することになり
   ました。
    このため4月1日に予定していた「零戦解体見学会」(応募締切)は延
   期させていただき、当日は、エンジン始動とタクシング(会場内での短距
   離移動)に切り替えさせていただきます。
  
    詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/spevent/index.html
  
   ☆大型映像館 4月1日からの上映番組「エアレーサー」のお知らせ
  
    ネバダ州リノ郊外の砂漠地帯ステッドフィールドでは、毎年9月に史上
   最速のモータースポーツ、エアレースがここで開催されます。かつて大空
   を駆け巡った名機(P51ムスタング、F7Fタイガーキャット、F8F
   ベアキャットなど)による史上最速の戦いが今、始まる!
    飛行機の歴史を描く貴重なアーカイブ映像、舞台に花を添えるエキサイ
   ティングなエアショーも必見です。ぜひご覧ください。
  
    開催期間:4月1日(月)〜6月30日(日)(上映時間約35分)
    場  所:大型映像館
    料  金:映像館入館料が必要です(大人600円 小中学生250円)
  
    詳しくは、こちらをご覧ください。
    http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/myalbum3/viewcat.php?cid=1#55
  
  ◆ イベント情報
  
   ■ 第16回ロボットグランプリ 開催 ■
  
    「ロボットグランプリ」は、ものづくりを「知的スポーツ」として捉え、
   子どもたちにものに触れながらその創造的な組み合わせによって与えられ
   た機能を達成するマシンを創る喜びを知ってもらい、また一般の人たちに
   それを楽しんで観戦してもらえるようにすることで、ものづくりを大衆化
   しようと考え、1997年より開催しています。参加者による競技の他、
   各大学・企業などで研究開発中の多くのロボット展示も行う予定です。
  
    開 催 日:3月23日(土)〜24日(日)
    開催場所:科学技術館1階 催物場
    入 場 料:無料
    主  催:一般社団法人 日本機械学会
    企  画:一般社団法人 日本機械学会
                   ロボティクス・メカトロニクス部門
  
    詳細は、以下のホームページをご覧ください。
    http://www.RobotGrandPrix.com
  
  
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             ★ 担 当 者 よ り ★
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   ■ 「新・竹取物語」 ■
  
    先々週の土曜日と日曜日(3月9・10日)の両日、科学技術館では恒
   例となった「キッズ・フロンティアワークショップ」が開かれました。新
   技術開発財団(注1)の主催で、リコーの特別協賛を得ており、カラーコ
   ピーの原理を勉強した後に、本物のカラーコピー機(注2)をていねいに
   分解して、部品を取り出し、部品を使って理科の実験をするという、ぜい
   たくな実験教室です。
    きょうのテーマは、そのイベントの休憩時間に端を発します。午前中の
   講義と実験が終わり、参加者たちが「お弁当」を食べていたところ、割り
   箸(わりばし)の袋に、おもしろい表記があることに気づきました(注3)。
   「この箸袋は、環境にやさしい非木材紙(竹)を使用しています」とあり
   ます。はて、竹を原料にした紙だって? 初めて見た筆者は、周辺のひと
   たちに尋ねて回りましたが、誰も知らない、見たことがない。
    紙は、一般には、パルプから作られています。そのパルプの原料になる
   のは、針葉樹(モミ、マツなど)、広葉樹(ユーカリ、ポプラなど)など
   の「木材」です。原料となるのは、樹皮(じゅひ。木の皮)の部分を取り
   除いた幹の部分(「木部」といいます)です。現在、使われている紙の大
   半は、木材紙です。
    これに対して、「非木材」を原料とするものとして、古くから有名なも
   のとして、日本の紙幣(お札)の用紙である「ミツマタ(三椏)」、ほか
   に和紙になる「コウゾ(楮)」、「ガンピ(雁皮)」などがあります。こ
   ちらは、パルプとは逆に、木部を使わず、樹皮を使います(注4)。
    このほかに、最近、名刺などに表示がしてあってよく見かけるのが、サ
   トウキビの搾りカスを原料とする「バガス」、アオイ科ハイビスカス属の
   一年草の植物である「ケナフ」で、これらが非木材紙です。サトウキビは
   毎年収穫できます。成長が早い。「ケナフ」も、非常に成長が早く、種か
   ら半年で、高さが3〜4mにもなって収穫できるそうです。つまり、パル
   プの原料となる樹木に比べて、圧倒的に生育が早い。そのことは、空気中
   の二酸化炭素(CO2)の時間当たり吸収量も大きいことを意味していま
   す。もともとは西アフリカ原産のようですが、最近では、日本の小中学校
   で環境教育の素材として、学校でも栽培されています(注5)。
   「イネ(稲)」の藁(わら)、「稲わら」も紙の原料となります(注6)。
   要するに、植物の繊維であれば、なんでも、それを薄く広く絡み合わせ
   て、糊(のり)のようなもので固定すれば、紙になるわけです。
    竹は、「竹ひご」で明らかなように、強い繊維からできています。竹も
   紙になります。
  
    さて、本題です。
    本メールマガジン375号(2012年4月11日発行)の「担当者よ
   り」では、「竹害」を取り上げています。近年、日本では竹の用途が減少
   して、里山では竹林が放置されたままになっているところがあり、そこで
   は、樹木よりずっと成長が早い竹が里山を駆け上がっています。この状況
   は、林業白書(平成23年版)では、「里山で(竹の)資源量が増加して
   いることから、資源として有効利用するため、竹繊維等の新規用途開発や
   竹資源の安定供給に向けた取組が進められている。」と書かれています。
    そして、2011年(平成23年)の第8回エコプロダクツ大賞・エコ
   プロダクツ部門の農林水産大臣賞には、「竹紙」が選ばれているのです
   (注7)。原料の安定確保、輸送・製造コストの問題などがありそうです
   が、森林資源を守る立場からは、もっともっと竹紙が普及するといいです
   ね。件(くだん)の箸袋は、こういう背景を持っていたのです(注8)。
    さて、この原稿を書くためにネット・サーフィンしていたら、科学技術
   館をベースキャンプにして、全国で科学実験ショーを繰り広げている「米
   村でんじろう先生」の記事に出会いました。米村先生らしい視点で、紙に
   まつわるエピソードがおもしろく書かれています(注9)。
  
                        (企画広報室 吉田浄)
  
    注1〜9はこちらをごらんください。
    http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/422/422.pdf
  
  
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  ┘                                 ┘
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